南京大虐殺記念館。
12月13日で、「日中戦争」を戦った日本軍が、南京城を陥落させて78年となる。
中国では、この日を「南京大虐殺犠牲者国家追悼日」という国家記念日に定めており、毎年、反日セレモニーが行われている。昨年は、習近平・国家主席が演説し、国内外の注目を集めた。
国家記念日を前に、南京市公文書館が、「大虐殺」に関する資料15点を公開した。この中には、10月にユネスコ記憶遺産に登録された「南京大虐殺文書」が含まれている。
これを報じたTBSのニュース(8日)には、同館担当者が、資料を手にしながら、「これは集団虐殺に関する調査票です。当時の生存者によって書かれました。捕虜にした中国の兵士を炭鉱に連れてきて働かせ、毎日その一部を殺害したと書かれています」と説明する様子が映し出された。
しかし、映像には、登録資料のタイトルや、文章の一部が映っているだけで、その全容は分からない。
同館のサイトを見ても、登録資料が抜粋で掲載されているだけで、とても公開と呼ぶに値するものではなかった。
そもそも、ユネスコのルールでは、世界記憶遺産に申請する条件として、誰もが登録資料を閲覧できることを求めている。だがTBSが、「中国当局が世界記憶遺産に登録した資料を公開するのは初めてのこと」と伝えたように、「南京」資料が公になったのは、今回が初めて。しかもその公開の仕方は、一部にとどまった。
つまり、中国は、明確にルールを破っているだけでなく、資料公開も不十分なのだ。
一党独裁である中国では、政府にとって不都合な歴史を研究する「学問の自由」がないのは言うまでもない。だが、今回の情報開示の状況を見れば、中国政府が世界に発信したい内容でさえ、「学問の自由」がないと言わざるを得ない。
中国は、自らが言い張る「大虐殺」があるのなら、全面的に資料を公開すべきだ。また、登録を認めたユネスコにも、中国に指導・監督する責任がある。(山本慧)
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