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自民党は19日、夏の参議院選挙の公約を発表しました。
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自民党は「日本を動かす 暮らしを豊かに」というスローガンの下、「強い経済」「豊かな暮らし」「揺るぎない日本」の3つのビジョンを柱に掲げています。しかし、国民の声や実態を無視し、裏付けもない公約に、批判の声が集まっています。
公約では物価高対策として、「すべての国民に2万円を給付」し、「子供や住民税非課税世帯の大人には4万円を給付」すると明記。給付の手続きを簡素化するために、マイナンバーカードの活用を進めるとしています。
この現金給付案は数日前にすでに報道されており、自民は「財源は、税収の上振れ分で対応する」と説明しています。しかし、石破首相は2月の時点では、国民民主党議員の国会質疑に対し「今、税収の上振れ分を国民にお戻しするような財政状況ではない」と回答していました。これには国民民主の玉木代表も「失礼な言い方になるが、嘘つきだ」と述べ、ネット上でも「選挙前のバラマキ」などと批判の嵐が巻き起こっています。
さらに、賃上げ政策として、「実質1%、名目3%の賃金上昇率を達成し、2030年度に100万円の賃金増加を目指す」とし、併せて「2040年までに日本の名目GDPを1000兆円に拡大し、国民の平均所得を5割以上引き上げる」ことも盛り込みました。しかし、30年もの間日本経済が成長せず、賃金も上がっていない状況で、「具体的にどうするのか」「信用できない」などと、ネットを中心に批判が殺到しました。
賃上げをめぐっては、石破氏は昨年10月に「2020年代に最低賃金を全国平均で1500円を目指す」と表明した際にも、実行するには「5年連続で7.4%の引き上げが必要」で、「そもそも達成不可能」だと専門家から指摘されています。
他方、以前から公表されていたように、参院選の主要テーマとなっている「消費減税」は盛り込んでいません。
消費減税をしない理由については、「消費税減税にはそれなりの時間がかかる。今物価高に苦しんでおられる方々に対する対応としては、私は給付金の方がはるかに効果的」「消費税は社会保障に充てられる貴重な財源で、消費税を軽々に減税するということには慎重な上にも慎重であるべき」(石破氏)、「消費税減税は一見、良さそうに見えても、実は所得の低い方々には恩恵が薄く、高い物をたくさん買える高所得者ほど得をする性格を持っている」(小野寺政調会長)などと説明しています。
しかし、コロナ禍では、OECD先進国のうち30カ国が「直ちに」消費減税をしており、「減税に時間がかかる」との指摘は当たらないでしょう。小野寺氏の言う「消費減税は高所得者ほど得をする」というのも、低所得者も生活に直結する恩恵を受ける減税を行わない理由にはならないと言わざるを得ません。
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