《ニュース》
アメリカのニューヨーク州議会で、末期患者が自らの意思で「医療的援助による死」を選べる法案を可決しました。ホークル州知事が署名すれば発効となりますが、知事に署名しないよう呼びかける動きもあります。
《詳細》
可決された法案では、「余命6カ月以下」であり「精神疾患ではない」と、2人の医師による診断が確定した患者は、相続権のない2人の成人の証人がいれば、安楽死のための薬剤投与を求めることができるようになります。
法案を提案した一人であるホイルマン=シーガル上院議員は、「これは人の命を終わらせるのではなく、死期を短くすること」であり、共和党政権が進める性別適合手術や中絶の制限など「身体に関する政府の管理強化に反対する」とし、「自分の身体をコントロールする自由」という「ニューヨーク州の価値観の表明」であると位置づけています。
一方、安楽死が拡大すれば「強制力が働く」との懸念もあります。
米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は11日の社説の中で、全米で初めて「尊厳死」を認めたオレゴン州で、希望した州民の47%が「負担になることへの恐怖」を動機として挙げていると指摘。「患者が死を選べるようになった場合、州はそれが『正当なもの』であるとか、もしかすると『望ましいこと』であるというシグナルを送ることになる」と批判しています。
また、この社説に関して、18日付同紙に、オレゴン州で「尊厳死法」の成立に尽力したジェームズ・パウエル氏の孫が投稿。パウエル氏自身、リンパ腫を患い、薬剤投与による尊厳死を選んだものの、孫は「祖父の選択により私たちはより哀れになったし、祖父自身もそうだったと思う」として、次のように主張しました。
「最期の日々、数カ月、あるいは数年をどのように過ごすかは、極めて価値があり、予期せぬ形で、他人の人生を豊かにしうるのです」「ニューヨーク州の提案は、『絶望の文化』であり、つまり、『よく生き、よく死ぬ』とはどういうことなのかを深く問おうとしないことの現れです」
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