《ニュース》

大手自動車メーカーのボルボが、全ての新車を2030年までに電気自動車(EV)にする目標を撤回しました。新たな目標として、新車の9割をEVか、ガソリンでも電気でも走れるプラグインハイブリッド車(PHV)とし、最大で1割をハイブリッド車(HV)にするとしています。

《詳細》

ボルボは21年、大手メーカーで初めて「完全EV化」を目標に掲げましたが、EVの需要は想定したほど伸びていないのが現実です。

EUでは2030年代にガソリン車の新車販売が完全に禁止されることを見込み、各国政府はEV普及のため購入補助金を出して推進してきました。しかし、23年3月、ガソリン車の全面禁止の方針は撤回。ドイツでは23年末、EVの購入補助金を打ち切るなど、見直しが進んでいます。

現在、EUを席巻しているのは中国製のEVです。中国政府がメーカーに莫大な補助金を出すことで価格を大幅に下げ、シェアを拡大してきました。ただ、EUやアメリカ・カナダなどでは自国産業への影響、安全保障上の問題などから関税がかけられ、中国製EVの締め出しが始まっています。

そもそもEVは値段がかなり高く、充電設備も不足する中、EVの売り上げは伸び悩んでいます。中国メーカーですらPHV車・HV車が人気になっており、EV販売で先行する米テスラ社も、23年前半の世界販売は、前年同期比で7%減少しています。

そうしたなか、EVに投資を振り切ってきた企業は苦境に陥っています。フォルクスワーゲン社(VW)は、EV専用の工場に投資してきたものの、十分な利益が得られず、同社がずっと避けてきた人員整理に踏み込む可能性があるとしており、社員は反発しています。

同社従業員代表委員会のダニエラ・カバロ委員長は、同社の前CEOがハイブリッド車を「ニッチ技術」と切り捨てたことなど、経営陣の失策が業績不振の原因であると批判しています。

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