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日米関税交渉が膠着する中、トランプ米大統領は1日、「日本との合意が実現できるか疑わしい」と述べ、「30~35%の関税」を課す可能性を示唆しました。

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トランプ政権は4月、大半の国々からの輸入品に「一律10%」の関税を課した上で、それぞれの国に状況に応じて関税を上乗せするという「相互関税」を発動しました。それとは別に、自動車や鉄鋼・アルミニウムなどの「個別関税」も課しています。相互関税については、発動直後に上乗せ分を90日間停止し、日米が交渉してきました。

日本の場合、一律関税10%と上乗せ分14%の計24%の関税が課されており、交渉期間が終了する今月9日までに交渉をまとめる必要があります。しかし、赤沢経済再生担当相を中心にこれまで7回もの閣僚交渉を行ってきましたが、折り合いがつかず膠着している状況です。

そうした中、トランプ氏は1日、大統領専用機内での記者団の取材に対し、「日本と交渉してきたが、取引できるか疑わしい。彼らはとても強硬で、甘やかされてきた(very spoiled)」「日本はコメを必要としているのに、我々のコメを受け取らず、自動車も購入しない」「日本との貿易関係は非常に不公平だ」などと強い不満を露わにしました。その上で、「日本には30%か35%か、あるいは我々が決定する関税を支払ってもらう」と、関税率の引き上げを示唆しました。

さらにホワイトハウス当局者は、9日までは日本以外の「他の貿易相手国(との交渉)に注力するだろう」と説明し、日本を後回しにする方針を示しました。日米協議を統括するベッセント財務長官も、トランプ氏から「米国民にとって不公平であれば受け入れないように指示を受けている」と明らかにしています。

トランプ氏は6月29日にも、米FOXニュースのインタビューで「日本に手紙を1通送ることもできる。親愛なる日本様、日本は車に25%の関税を課されます、というものだ」と語り、日本の交渉姿勢に不満を表明していました。

実際に、交渉が一向に進まない原因は、石破政権にあります。

例えば、日本政府は一貫して「関税の完全撤廃」を要求し、自動車関税などの全面免除を求めています。しかし、アメリカ側は当初から交渉対象を「上乗せ関税分」に限定しており、自動車など「分野別関税」は対象にしない意向を示してきました。

さらに、赤沢氏は何度も訪米していますが、そのほとんどが「事前のアポイント」もないまま訪米していることを自ら明かし、物議を醸しています。赤沢氏は「これまでも押しかけて会えなかったことはない。押しかけ成功率100%だ」などと述べていますが、7回目に至っては、わざわざ訪米したにもかかわらずラトニック商務長官との会談は電話で済まされ、交渉責任者のベッセント氏との面会は実現しないまま帰国するなど、全く相手にされていない状況です。

そして今回、トランプ氏からさらなる関税を課される可能性が浮上し、石破政権の交渉がどん詰まりになっていることが、いよいよ白日の下に晒された形です。

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