《ニュース》
日本産水産物の輸入再開に向けた日中合意がなされましたが、水産業界では2年の禁輸の間に販路が多角化され、すでに販売が好調であることが注目を集めています。
《詳細》
福島第一原発の処理水放出を受け、中国政府が2023年に始めた日本産水産物の全面禁輸措置について、日中両政府はこのほど、解除に向けた手続きを進めることで合意しました。
実際の再開時期がはっきりしておらず、福島県など10都県では依然、禁輸措置が残ったままであるなど、課題は多く残りますが、2年越しの解禁に期待の声も上がっています。
一方で、禁輸期間の間に他国への販路が開拓される「脱・中国」が進み、解禁による恩恵は限られるとも言われています。
特に当時、中国への輸出額がトップだったホタテは、国内の応援消費や、国の支援も受けた関係者の海外販路拡大により、輸出構造は大きく変化。現在はアメリカやベトナムなど東南アジア、台湾などへの販売が急拡大しており、国内卸売値は禁輸直後の2倍になり、各市場で過去最高値を更新しています。
その他、養殖のブリやサーモン、ウニやアワビなど水産物の海外輸出は軒並み拡大し、すし屋が魚を買えない事態にまでなっているといいます。
この状態で中国向けの水産物の輸入が再開されても、元の対中国の取引ルートが回復するわけではなく、品薄や値上がりにより日本の消費者が買えなくなくなる可能性もある、との指摘もあります。
また政治的揺さぶりの道具にされる中国販路は「もうこりごり」とする水産業関係者も多いと報じられています(4日付日経新聞)。
《どう見るか》