トカラ列島の小宝島(名古屋太郎/Wikipedia)。
《ニュース》
鹿児島県・トカラ列島近海において、5日間で400回を超える地震が発生し続けています。住民に不安や疲労が広がっています。
あわせて、「トカラ付近に地震が頻発すると、国内で大地震が起きる」という"トカラの法則"と呼ばれる噂も話題となり、専門家たちが「科学的根拠がない」と否定しています。
《詳細》
トカラ列島近海では、21日から群発地震が続いています。地震回数は、25日時点で400回を超えました。この地域には過去にも群発地震が発生していますが、2021年の308回、23年の346回を超える規模となります。震度4の揺れも数回観測され、1時間で最大15回の揺れが起きる時もありました。
島の住民の一部はフェリーで鹿児島市や奄美大島に避難。小中学生がヘルメットを傍らに授業を受ける姿も見られると言います。不安で夜が眠れなくなったり、あまりに続く揺れで、酔いに悩まされたりする人も出ているといいます。
トカラ列島についてはかねてより、SNSなどで「頻発地震が起きると、その後に国内の離れた場所で大地震が起きる」という"トカラの法則"がささやかれていました。
2011年1~3月の地震(27回)の後に東日本大震災(震度7)が、16年4月の地震(9回)の後に熊本地震(震度7)が、12月の地震(55回)の後に茨城県北部地震(震度6弱)、18年6月の地震(4回)の後に大阪府北部地震(6弱)が起きた例なども、挙げられています。
特に22日、トカラ列島と同じ霧島火山帯に属する霧島連山・新燃岳が7年ぶりに噴火し、関連や連鎖を疑う声も広がっています。
これに対し、地震や火山の研究者からは、「地震は局所ごとに起こる事象であるため、離れた場所同士で影響を与え合うことは科学的にあり得ない」という指摘が相次いでいます。
霧島連山・新燃岳の噴火も、その距離から「影響がない」と報じられています。
こうした地震学の定説をベースとしつつ、"トカラの法則"は統計的にも確認できず、人が思い込みで相関を見出す「錯誤相関」だと指摘する声もあります。
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