《ニュース》

島根県吉賀町議会で、新たな風力発電施設の設置を規制する条例案が可決され、7月1日から施行されることとなりました。条例制定は中国地方で初めてで、背景には、事業者と住民との間にトラブルが頻発していたことがあるといいます。

《詳細》

6月20日の吉賀町議会で可決された「風力発電事業と地域との調和に関する条例」では、住宅から1.5キロ以内の地域や文化財の周辺、鳥獣保護地区、土砂災害特別警戒区域などを出力10キロワット以上の風力発電設備の禁止区域に設定しています。

禁止区域に建設する場合は、町との協議や住民説明会の実施、隣接する土地の所有者の同意を義務付けます。また、土地の所有者に対しては自然環境などを損なう恐れのある事業者に使用させないよう努めることを求める内容です。

吉賀町と山口県岩国市・周南市との境界に当たる山間部では、西中国ウインドファーム事業(仮称)が計画され、建設されれば国内最大級となる出力4300キロワット級の風車33基を設置するもので、風車の高さは100メートルを超えると見られます。

ただ、一級河川で日本有数の清流として知られる高津川の源流に当たることから、設置後は流域の環境への影響が懸念されています。吉賀町長の岩本一巳氏は2024年4月、西中国ウインドファーム事業に反対の意向を表明。風力発電事業の進展が見られないことに加え、地元から風力発電事業の撤回を求める要望書と1804人分の署名が町に提出されていることを挙げていました。

吉賀町では2024年4月にも、メガソーラーを設置する事業者に住民説明会の設置や隣接する土地所有者、自治会代表者からも同意を得ることを義務付け、事業実施前には町と協議して町長の許可を得ること、事業を廃止した場合は復旧することも定めるなどの条例が可決されています。

近年、宮城県や岩手県、青森県、福島市などで、風力発電施設やメガソーラーの設置を規制する条例制定が相次いでいます。再エネ施設の設置を規制する条例制定は、中国地方の自治体で初めてです。島根県では松江市議会でも、6月定例議会で再エネ規制条例案が審議されており、市は可決された後、10月から施行する方向です。

《どう見るか》