《本記事のポイント》

  • そもそも「都市伝説」とは何か
  • 都市伝説が生まれるメカニズム
  • 都市伝説とどう向き合うか

前回の「ディープフェイクの罠」でもお伝えした通り、都市化した文明社会の特徴として、「社会の高度情報化」が挙げられます。マスメディアやインターネットを通じ、膨大な情報の流通や知識の集積によって社会が構成されるようになりました。

しかしそれらの情報・知識は玉石混交であり、その量が爆発的に増大したことから、多くの人はものごとの全体像や真偽が把握できない状態に陥りました。フェイク(偽)情報が蔓延する温床ともなったのです。

今回は高度情報化社会となった現代において、より一層特徴的な存在となった「都市伝説(アーバン・レジェンド)」に関して、一緒に考えてみたいと思います。

都市伝説とは何か

この「都市伝説」とはなにを指すのでしょうか。一般的な定義は「現代社会の中に生きる多くの人々により、語られ信じられ広まっていく口承の一種」で、「実際にありえないような話、噂話、逸話に真実味と不安を加え、本当にあった実話として語られるもの」です。

はじめから「実際にありえないような話」を「本当にあった実話」に仕立て上げることを前提としているのですから、典型的な「フェイクの罠」に該当するでしょう。

最近では単なる都市伝説として放置できない出来事も起きました。日本の漫画家による、時期を明確にした大災害の予知夢漫画が国内の都市伝説マニアの話題になり、それがSNSやYouTubeによって拡散されたり、海外で翻訳出版されたりした結果、作者本人の意図とはかけ離れ、海外の観光客がその時期に日本への観光を控える風評被害的とも言える社会問題に発展したのです。

「ノストラダムスの予言」といった過去何回もあった終末予言と同様、都市伝説は現代社会に何らかの影響力を与え、人々の行動を変える原動力になり得るのです。

都市伝説が生まれるメカニズム

ではこうした都市伝説が生み出されるメカニズムはどうなっているのでしょうか。

冒頭に述べた通り、情報や知識が氾濫しているのが現代社会であり、そこに住む我々が情報を得る手段は、一次情報が加工された二次情報から、となることがほとんどです。そして一次情報が、報道やSNSなどを通じていわゆる伝言ゲームのように伝達される間に、一部は事実であるものの、複数の個人の思惑や偏見なども途中で加えられ、最終的には、はじめの事実(一次情報)とは全く異なった二次情報と化す場合があります。初めは単なるうわさ話の類であったものに論点が補強され、既成事実かのように広がるのです。あらゆる情報が、伝達されるプロセスの過程で都市伝説に加工されてしまう可能性が随所にあると言えます。そしてこの二次情報でさえ膨大で、我々はその洪水の中に生きているのです。

つまり現代の人々は氾濫する不確実な二次情報のなかで、情報から確証を得られない不安定な精神状態に置かれ、強い社会的ストレス下にあると言えるでしょう。高度情報化社会で多くの人が膨大で真偽の境界線が曖昧な情報の中で暮らしており、マスメディアやネット情報、SNSを通じ、災害や環境問題、政治不安、経済不安などのあらゆる将来への不安が煽られ続け、人々は疑心暗鬼になっているのです。

現代社会は共同体意識が希薄化しているのも大きな特徴です。そのなかで多くの人が社会的孤立を感じ、「誰かとどこかでつながっていたい」「共感できる領域を広げたい」と思っていること、「リアル」な世界にはない非日常性なスリルを味わえるエンタメ要素の一つとして都市伝説の需要があること、そして伝統的な宗教や最先端の科学未知の分野では解明できない出来事が存在すると認識し始めた人々の増加が、都市伝説が広がりやすくなった背景にあります。

そして人間は誰しも「真実を知りたい」という知的好奇心を持っています。自分の中にある半信半疑を解決してくれる答えを求めているとも言えるでしょう。それが怖いもの見たさとして、現代社会特有の都市伝説を生む出すメカニズムとなり、都市伝説が実際の社会に影響を与えることもあるのです。

今後、都市伝説とどう付き合うか

最近は100万人、200万人を超えるフォロワーがいる都市伝説系YouTuberによる番組もあり、都市伝説を扱うことがビジネスとして成立するところまで成長しています。これらはあくまでも真相究明を目指し、何らかの結論を得ようと探究するスタンスのものから、都市伝説はあくまでも都市伝説として扱い、エンタメとして楽しむことに終始し、うわさ話としての都市伝説を楽しめば良いというスタンスのものもあります。しかし残念ながら「生まれ変わりの秘密」を都市伝説とするなど、「現代の常識では信じがたいが確実に存在する霊的真実や超常現象」を、オブラートに包み、確定的に言い切ることなく「嘘も方便」として伝えるものも存在しています。

前述の通り、人間は誰しも「真実を知りたい」という知的好奇心を持っています。「事実は小説よりも奇なり」ということわざにも象徴されるように、現代社会における都市伝説の中には、むしろ最終的な事実認定はされていないものの、なぜか多くの人が「実際にありえそうな話」と感じるからこそ人の心をとらえる側面もあり、全面的に否定はできないのではないでしょうか。たとえ荒唐無稽ではあったとしても、はなからその内容を馬鹿にして全面否定せずに、「もしかしたらあり得るかもしれない」では「あり得たとしたらどうなるのか」と考えることは、科学的な検証のアプローチとも言えます。

今後、都市伝説の類がどんどん進化し、社会不安を煽る方向ではなく、結果的に多くの人を宗教的な真実に目覚めさせ、仏法真理を裏付ける形での情報提供につながっていくのであるならば、この地上での真理伝道の露払い、方便としての効果も期待できます。

都市伝説を超えた真実の世界を伝えよう

幸福の科学では、死後の世界は確実に存在し、天国と地獄の差があるという霊的真実を伝えています。また宗教における奇跡体験として、末期の癌細胞が消滅するなどの都市伝説を凌駕した、本来この三次元世界であり得ない、時空間が捻じ曲がったような出来事の出現を否定していません。

「疑っても、疑っても、疑いきれないものだけを信じる」とするスタンスでは絶対に認識できない、神秘に包まれた世界は実在しています。唯物論的な実証科学で言うところの反証可能性をいくら迫っても答えは得られません。信仰の世界では、どうしても「不合理なれど我信ず」の世界に飛び込むことが求められます。

現在、絶賛上映中の映画『ドラゴン・ハート─霊界探訪記─』は、現代では亡くなった人の半数以上が後地獄に堕ちているという、「確かに存在する衝撃的な死後の世界の姿」や、「伝説であるシャンバラ」、「神々が集う世界」を多くの人に伝えるものです。本作の鑑賞は、現代社会に生きる人々が体験できる、仏から降ろされた「蜘蛛の糸」となり得ると言えるでしょう。

人々を「信じるか信じないかは、あなた次第です」の都市伝説の世界から、「不合理なれど我信ず」の宗教の世界へ誘うことが、今こそ求められていると思います。

(吉崎富士夫)

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