2024年9月号記事

「良い格差」は世界を繁栄させる

「格差是正」はなぜ正義ではないのか

バイデン米大統領が率いる世界は繁栄か没落か。
検証する。

「4年前よりもあなたの生活は良くなりましたか?」

レーガン氏はカーター大統領との一騎打ちになった1980年の大統領選で、こう国民に問いかけた。

企業家で経済に明るいトランプ氏も同様に「私が大統領になったら、みなさんの暮らしを良くする。みなさんにかかるチップの税金を免除する」と経済重視の公約を掲げる。またトランプ氏の経済顧問のアーサー・ラッファー博士(本誌58ページ)は、労使が折半して負担する給与税(*1)の減免を訴えているので、今後政策に反映される可能性がある。

実はトランプ氏の公約は、多くの労働者に評判がいい。

インフレが収まらないアメリカでは、賃金上昇率が物価上昇率に追いつかないので、同時に2つ以上の仕事に従事する人々が増えている。そんな彼らにとって、手元に残る現金が増えるのは生活を楽にすることにほかならない。

もし給与税の減免が行われたら、経営者は現金が手元に残り、被雇用者も所得が増えるので、暮らしが楽になる。政府は税収が減った分、予算規模を縮小し、廃止すべき省庁が出てくるなど、「小さな政府」へと減量しなければならなくなる。政府債務は35兆ドルに達しており、利上げの影響から金利が上昇し、国防費の予算分を毎年利子として支払うような、極めて非生産的な経済構造になっているので、減量は急務である。

(*1)日本の社会保険料に相当する。

バイデン氏の共産党のマニフェストのごとき増税項目

だが、待ったなしの状況であるにもかかわらず、この方向の逆を行くのが、バイデン政権だ。同政権は、ビリオネイア税、キャピタルゲイン税、相続税、所得税、不動産等への課税強化を列挙している。まるで国民の私有財産を否定する共産主義国家のような政策が並ぶ。かつての「共産主義」が現代では衣がえをして、「格差是正」を正義とする形で復活させたのがバイデン政権の政策方針なのだ。

政府債務が膨張し政府の借金から国は「火の車」。その中で減税よりも増税で再分配すれば、インフレは止まらない。それでも「再分配」に固執する背景にあるのは、「格差是正」という錦の御旗だ。

このイデオロギーは、「良い格差」は金持ち優遇だとして徹底して否定する。

だがそれは本当に正しいことなのか。大川隆法・幸福の科学総裁は、次のように警鐘を鳴らす。「『「良い格差」は他の人々を勇気づけ、社会にやる気と活力を与える』と。『「繁栄」を肯定するところから繁栄は始まるのだ』と書いてありますが、簡潔に書いてありますが、非常に重要なことで、これが、まあ、政府のトップにいる方まで分からないことでございますので、この単純なことが、実は分からないから、国の舵取りを誤るので、気をつけていただきたいなあと思います」(*2)。

格差是正はなぜ正義とは言えないのか。2人の識者に話を聞いた。

(*2)「『繁栄思考』講義」(幸福の科学刊)

トランプ氏の政策

チップの税金を免除

さらなる法人減税、給与税の減免もあり得る

バイデン氏の政策

ビリオネイア税(富裕税)、キャピタルゲイン課税、相続税、所得税、不動産等への課税強化

※文中や注の特に断りのない『 』は、いずれも大川隆法著、幸福の科学出版刊。

 
次ページからのポイント(有料記事)

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