《本記事のポイント》
- 中国・浙江省で仏教関連の書籍の販売者3人が中国政府に拘束された
- 中国では外国の宗教だけでなく、中国古来の伝統的な仏教まで規制対象になっている
- 国際社会は中国の宗教弾圧、人権弾圧に声を上げ、具体的な行動を起こすべき
現在、中国国内では、あらゆる宗教活動を取り締まる動きが激化している。その規制対象は、外国から入ったキリスト教やイスラム教だけでなく、中国古来の伝統的な仏教にも及んでいる。
中国における宗教の自由の迫害と人権問題について連日報じているウェブメディア「BITTER WINTER」の1日付の記事によると、「浙江省で、中国政府が仏教関連の書籍を販売したとして3人を拘束」したという。
同記事では、以下のように報じられている。
2018年5月、中国政府が出動させた警察官10人以上が浙江省台州市の書籍販売業者を逮捕した。書籍販売業者は、意図せず仏教関連の書籍を販売したことを理由に「違法な商業活動」を行った罪で起訴された後、地元拘置所へすぐに送致された。
その際、書店の倉庫にあった仏教関連の書籍もすべて警察に押収された。
一方、別の書籍販売業者2人も、仏教の経典「般若心経」をインターネット上で販売したとして警察に5月に逮捕され、現在も勾留されたままである。
外国の宗教だけでなく中国の伝統仏教まで禁止
中国では2月に、「宗教事務条例」が12年ぶりに改正された。条例改正に伴い、共産党政府は聖書の販売を完全に禁止し、家庭教会などへの管理も強化している。
「宗教事務条例」改正の表向きの理由は、「外国勢力の影響を排除するため」だ。しかし、共産党による迫害は、キリスト教やイスラム教など、外国から来た宗教のみならず、仏教のような伝統的な宗教を含むすべての宗教を対象に、激しさを増していることがうかがえる。
人権の根本には「信教の自由」がある
中国では現在、ありとあらゆる人権侵害が行われており、国際的に批判を集めている。人権を守る国とそうでない国の根本的な違いを突き詰めると、「宗教があるかないか」という点に行きつく。
人間がなぜ尊い存在であるか、なぜ人権が認められているか、という根拠には、「人間は神の子である」という宗教的な教えがある。だからこそ、中国に人権問題を根付かせるためには、「信教の自由」を広げる必要がある。
大川隆法・幸福の科学総裁は5月、「高貴なる義務を果たすために」と題した法話の中で、中国に「自由、民主、信仰」の価値観を入れることが必要であると述べたうえで、次のように語った。
「 独裁者がいるところは法律をつくって、法治国家のように見せて、法律に基づいて人を粛清したり、いろいろなことができるので、実際は悪法が横行しています。(中略)人間がつくったものより上の正義というのが必要ですし、また、信仰の自由が守られることによって、人権というのが本当に意味を持つようになるんだということで す」
国際社会は、中国政府が公然と宗教活動を弾圧し、人権侵害を行っている現状を看過すべきではない。今この瞬間も、数多くの信仰者が中国政府に拷問され、苦しんでいるという事実を直視し、一刻も早く声をあげるとともに、抗議活動など具体的な行動を起こす必要がある。
(小林真由美)
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