《ニュース》

「南海トラフ巨大地震」について、政府の中央防災会議の作業部会が約10年ぶりに新たな被害想定を公表し、各紙が一面で報じています。

《詳細》

南海トラフ地震の危険性は以前より警告されており、2003年に政府は東海、東南海、南海地震が連動した場合の被害想定を策定。しかし11年の東日本大震災で想定外の被害が出た反省に立って、14年に新たな被害想定がまとめられました。それから約10年が経ち、被害想定を左右する社会の状況も変化したことを受け、内閣府は被害想定の見直しに着手していました。

新想定は、最大クラスのマグニチュード9級の地震により、最大の被害が起きるケースで約29万8千人の死者が出るとシミュレーションしています。内訳は、建物の倒壊で約7万3千人、地震火災で約9千人、津波ではすぐ避難する人を20%と仮定して約21万5千人としました。

前回の想定時に比べ、住宅耐震化率が約10%、海岸堤防の整備が約25%増えた一方、地盤や地形のデータが高精度化したことで、津波による想定浸水範囲が3割増えました(深さ30センチ以上の津波を想定した場合)。前回想定では死者想定32万人という数字が波紋を呼びましたが、数字は大きく減少していないとして、各紙は防災対策の加速を訴えています。

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