フランスのオランド大統領とロシアのプーチン大統領は17日、電話で協議し、シリアでの対テロ軍事作戦で調整を図ることで一致した。
仏ロ両国は、フランスで同時テロを起こした「イスラム国」(IS)のシリア拠点への大規模な空爆を続ける。ロシアはこれまで反シリア政府勢力に対する攻撃ばかり行ってきたが、テロ発生後、初めて潜水艦から「イスラム国」のシリア拠点に巡航ミサイルを撃ち込んだ。イギリスもシリア空爆を表明しており、「イスラム国包囲網」が形成されつつある。
プーチン大統領はフランスを「同盟国」と呼び、国際社会への連携を強調。ロシアは、対テロを通じて国際社会への「復帰」を目指しているとも言われる。
米ロ協力は実現するか?
オランド大統領は24日にオバマ米大統領と、26日にプーチン大統領と会談する予定で、「イスラム国」を掃討するため「米ロが協力すること」を求める見通しだ。
仏ロの連携に対し、オバマ大統領は18日のマニラでの記者会見で、「ロシアが実際に『イスラム国』を標的にするようになるかどうか、成り行きを見守ろうと思う。そうなれば歓迎する」と語っている(19日付読売新聞)。この半信半疑の様子から分かるように、アメリカがロシアと協力するか否かは、現在のところ不透明だ。
両国が協力する際、問題になるのはシリアのアサド大統領をめぐる処遇だ。ロシアは親ロ派のアサド政権を支援しているが、アメリカは国民の虐殺を行うアサド政権の存続を容認していない。
だが元々、「イスラム国」の勢力がこれほど拡大してしまった原因は、オバマ大統領が2011年末にイラクから米軍を撤退させ、2013年9月にシリアへの軍事介入を見送ったためだ。
米ロ協力の下、「イスラム国」掃討を望むフランス
フランスは、今までのアメリカ軍主導の「イスラム国」掃討作戦は失敗と見限っており、まず「イスラム国」を撃退し、その後アサド政権を退陣させるという方針に変更。米ロが協力して「イスラム国」を掃討することを望んでいる。
仏国防省の政策顧問を務めたブルーノ・テルトル氏も、「『われわれの優先課題はダーイシュ(ISのアラビア語の名称)だ』と言うようになったが、その事実は、アサド打倒にわれわれの関心がなくなったことを意味しない」と語る(18日付ウォール・ストリート・ジャーナル電子版)。
フランスが望む通り、アメリカとロシアは一旦和解し、手を結ぶべきだ。欧米とロシアが協力して「イスラム国」の活動を鎮圧し、シリアのアサド政権も退陣に導くことを目指すことが、現在考えうる最良の策。これからの世界秩序の安定には、アメリカとロシアの協力が必要だ。(泉)
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