《ニュース》

係争地カシミール地方をめぐってインドとパキスタンの緊張がエスカレートする中、パキスタンは自国が運用する中国製戦闘機を出動させ、インド空軍の戦闘機を撃墜したと主張しています(8日付米ロイター通信やブルームバーグ電子版など)。

《詳細》

4月22日にカシミール地方で発生したテロ(「カシミール地方のテロ事件で、インド「パキスタンがテロを支援」)を受けて、インドはパキスタンへの報復として5月7日、パキスタンとカシミール地方の複数の"テロリストのインフラ"にミサイルを撃ち込みました。この攻撃は、ヒンドゥー教徒の既婚女性が額などに塗る赤い化粧品の名前を取って、「シンドゥール作戦」と称されています。

これに対し、パキスタンのダール副首相兼外相は7日の国会で、パキスタン軍の中国製戦闘機「殲-10C」がインド空軍戦闘機5機を国境地帯で撃墜したと報告しました。

撃墜した戦闘機には、フランス製戦闘機「ラファール」とロシア製戦闘機「ミグ29」「スホイ30」が含まれていたといいます。これが事実であれば、「殲-10C」は空対空戦闘で初めて敵機を撃墜したことになり、中国の軍事技術の向上を示す事例となります。

フランス情報当局高官も米CNNに対し、インド空軍の「ラファール」1機がパキスタン軍に撃墜されたことを認めています。インド政府や軍はこれまで戦闘機の損失を認めていません。

またダール氏は国会で、インド軍による攻撃開始直後から、軍事的な対応について中国と完全に情報を共有しているとも述べています。さらに一部の報道では、中国製長距離空対空ミサイル「PL15」が戦闘機の撃墜に使用されたとも報じられました。

中国にとってパキスタンは最大の兵器供給先です。ストックホルム国際平和研究所によると、2019~23年にパキスタンが輸入した兵器の約82%が中国製でした。

インドとパキスタンはともに核保有国であり、インドは172発、パキスタンは170発もの核弾頭数を保有するとされます。パキスタンの国防相は、インド軍による攻撃前に「場合によっては核兵器を使う可能性」に言及していました。

ところでインドとパキスタンの緊張が高まったタイミングは、とても"怪しい"と言われています。

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