台湾民主基金会トップに聞く中台問題 「台湾は、中国とは違う『一つの国家』」

台湾民主基金会トップに聞く中台問題 「台湾は、中国とは違う『一つの国家』」

Mike Trukhachev / Shutterstock.com

 

中国の習近平国家主席は年始に、1979年に中国が台湾に平和的な統一を呼びかけた「台湾同胞に告げる書」の発表から40年に合わせて、台湾政策に関する重要演説を行った。

 

習氏は、台湾統一に向けて「武力使用は放棄しない」と明言。中国共産党は立党100周年にあたる2021年までの台湾統一を目指していると指摘する識者もいる。

 

危機が迫る台湾のために、日本は何をすべきか。台湾民主基金会の現執行長と元副執行長に、台湾の実情と日本への期待について聞いた(本誌2018年3月号、12月号の記事再掲。肩書きなどは当時のもの)。

 

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Interview 1

 

台湾は、中国とは違う「一つの国家」

 

 

民主化及び人権活動担当大使
元台湾民主基金副執行長

楊黄美幸

(ヤン・メイシン〈Yang Maysing〉)1944年、東京生まれ。3歳の時に台湾に帰国。米ニューヨーク州のフォーダム大学で社会学の修士号を取得。米国滞在中20年間を台湾の民主化運動に捧げる。帰国後、民進党員となり民進党外交部の局長となる。2003年アジア初の民主基金を設立後、副執行長に就任。

台湾民主基金は、アメリカからアドバイスを受けて2003年に設立しました。ミッションは主に3つです。

 

1つ目は国民の啓蒙や女性の支援などで、台湾国内の民主化を進めること。

 

2つ目は、国外の民主化運動の支援です。国民党政権下では、中国の民主化の支援を水面下で行っていましたが、民進党政権に代わって、堂々と支援できるようになりました。中国以外にも、東南アジアの国々の若者を台湾に呼んで、研修を行い、民主主義や人権の意味を伝える活動をしています。

 

3つ目は、台湾は、中国とは違う「一つの国家である」ということを世界に伝えることです。

 

 

日本は台湾を見て見ぬふり?

とても残念ですが、台湾は国際社会から隔離されています。1993年から、台湾は国連への加盟運動を行ってきましたが、いまだに加盟を認められていません。国際的な組織からの台湾の排除は人権問題です。

 

これまで日本が台湾に対してとってきた政策の柱は「不干渉」です。日本の外交官と会う機会があり、「日本に何とか助けてほしい」とお願いしましたが、「不干渉主義だから難しい」と言われました。

 

2018年1月上旬にアメリカ連邦議会下院が「台湾旅行法」案を採択しました。施行されれば、アメリカと台湾の政府高官が相互に訪問できるようになります。台湾の大臣や政府高官が日本政府を訪問し、意見交換できるように、日本でも法律が改正されることを願っています。

 

現在、約8割の台湾人は、自分たちは、「中国人ではなく台湾人だ」と考えています。中国政府による台湾の名称である中華台北は、台湾人にとって大変侮辱的です。2020年の東京オリンピックでは、「台湾」の名前で参加できるように日本人の皆さんに呼びかけたいです。

 

 

日本に求められていること

2017年11月、東京都内で行われた「諸民族青年リーダー研修会」で演説する楊黄氏。

日本は成熟した民主国家です。第二次大戦後の日本は、重荷を背負い、手足を縛られているように見えますが、日本の民主的な価値観を広げ、中国の民主化にも力を発揮すべきではないでしょうか。会場にいたウイグル、チベット、内モンゴルや、海外に亡命した活動家の皆さんも同じ気持ちを持っていました。

 

日本も、中国やアジアの民主化を支援するための民主基金を立ち上げるべきです。近年、「自由」や「民主」といった価値観が衰退の兆しを見せているので、日本がアジアで政治的リーダーシップを取ることが期待されています。(談)

 

 

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Interview 2

 

台湾の自由・民主・人権を中国へ広める必要がある

 

 

台湾民主基金会

執行長

廖福特

(リャオ・フーテ)1965年生まれ。台湾東海大学、台北大学を経て、英オックスフォード大学法学博士。中央研究院法律学研究所研究員。台湾総統府人権諮詢委員会の副主任委員、台湾人権促進会の執行委員、台湾国際法学会の理事兼秘書長などを歴任。

現在、中国の人権状況は悪化する一方です。近年、中国では最先端のAI技術が人権弾圧に使われています。大弾圧が行われている新疆ウイグル自治区は、まさにジョージ・オーウェルが『1984年』で描いた監視社会そのものです。このままでは、最先端技術を駆使した監視社会が中国全土に広がる恐れがあります。

 

中国の人権状況を改善するためには、現状を世界の人々に知らせることが大事です。そのため、台湾民主基金会では毎年、中国の人権報告書を英語と中国語で発行しています。

 

私たちのもう一つの使命は、アジアに民主主義を広める国際的なネットワークをつくることです。

 

中国の人権問題と民主化に取り組むNGOは世界中にあります。こうした団体との国際的な交流を通してネットワークをつくっています。

 

日本政府には、人権問題の解決のためにもっと行動を起こしていただきたいです。日本の政党やNGOとも連携していきたいです。

 

 

台湾で「自由」を知る中国人

私たちは、アジアの自由と民主主義を守る活動を「台湾」で行うことに非常に大きな意義があると思っています。

 

今台湾人が享受する自由や民主主義は、数多くの台湾人の長年の努力と犠牲の上に獲得したものです。だから台湾人は、自由や民主主義を当たり前のものとは決して思いません。本当の民主主義、自由、人権を求めて、常に努力を怠りません。努力し続けなければ、この価値を維持することはできないからです。

 

実際に、台湾に来る中国人に話を聞くと、台湾で言論の自由があることに感動する人が多いんです。たくさんの中国人に台湾を訪れ、自由と民主主義の素晴らしさに触れていただきたい。中国国内にも、民主主義を求める活動家はたくさんいるので、そうした方とももっと連携していきたいです。

 

台湾には、中国と言語や文化を共有する中華圏でありながら、独裁的な政権から民主的な政権に移行した、奇跡の歴史があります。中国人は、この台湾の経験からたくさんのことを学べると思います。(談)

 

【関連記事】

2018年3月号 Interview 世界の民主活動家たち - 台湾は、中国とは違う「一つの国家」

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2018年12月号 呑み込む中国、守るアメリカ - 日本は今こそ「台湾防衛・独立支援」を

https://the-liberty.com/article.php?item_id=15022

 

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