衆院選投開票翌日、自民党本部で開いた記者会見で今後の抱負を語る安倍首相。写真:新華社/アフロ
2015年2月号記事
2014年衆院選
衆院選で3分の2議席獲得
安倍政権は憲法改正に踏み込めるか
2015年秋に予定していた消費増税を延期することについて「国民の信」を問いたいとして行われた師走の衆院選。大方の予想通りに与党の勝利に終わり、選挙前後で与野党の勢力関係に変化はない。だが、低迷する景気、中国の覇権拡大への備えなど、日本の政治課題は山積している。
衆参のねじれを解消し、政権与党の座を取り戻した2年前に続き、今回の衆院選でも自民党が圧勝した。公明党と合わせ、衆院の3分の2を上回る326議席を獲得。安倍政権が一定の信任を得た形だ。
憲法改正の発議に必要な議席を獲得したことで、「警戒論」も出始めている。中国国営の新華社通信は、投開票日翌日の12月15日、「憲法改正も早晩、日程に上るだろう」との論評を出した。朝日新聞も、憲法改正への直接的な警戒論は避けたものの「勝利すなわち白紙委任ではない」とけん制している。
中国の横暴を放置してきた自民党政権
だが、 日本を取り巻く安全保障環境を冷静に見れば、憲法改正は待ったなしだ。 11月の沖縄県知事選では、辺野古移設に反対する翁長雄志知事が誕生。今回の衆院選でも、沖縄県にある4つの小選挙区すべてで、移設反対の野党議員が勝利した。
「反基地」「親中路線」の世論が沖縄を席巻すれば、本当に沖縄から米軍が撤退するかもしれない。そうなれば、日本はいよいよ「自主防衛」を真剣に考えざるを得なくなる。
中国は次々と軍備を拡大し、南シナ海の島々の領有権を主張して東南アジア諸国と衝突を繰り返している。10月には、小笠原諸島に中国船が大挙して押し寄せ、サンゴ礁を密漁するなど日本への「挑発行為」も行っている。
さらに中国は、6月に南京事件と従軍慰安婦の問題をユネスコの世界記憶遺産に登録申請し、選挙戦の最終日にも、南京事件の追悼式を初めて国家主催で行った。戦後70年の節目である2015年に向けて、「歴史戦」を本格的に展開し、日本を国際社会で追い詰めようという動きだ。
こうした中国の横暴に対して、与党自民党は有効な手を打ってこなかったが、 これ以上、問題の先延ばしは許されない。そろそろ、基地問題、歴史認識問題にケリをつけて、憲法改正、自主防衛体制の強化に舵を切るべきだろう。