写真:Imaginechina/アフロ

《本記事のポイント》

  • 中国の中央と地方の税収が51年ぶりに前年割れ
  • トランプ米大統領が仕掛ける貿易戦争の効果が現れている
  • 日本も減税と規制緩和などで「企業の国内回帰」を後押ししたい

中国の中央と地方を合わせた2019年の税収額が、1968年の文化大革命以来となる51年ぶりに前年を割り込み、減収する見通しとなった。日本経済新聞(29日付)が報じた。

中国政府は、法人税の伸びを前年比10%増と予想していたが、上期の実績値では5%増にとどまった。また不動産関連の税収も、12%増を見込んでいたものの、上期は4%増となっている。

減収の背景には、「景気の減速」と「減税」の2つの要因があるという。中国は、アメリカによる貿易戦争に対抗するため、景気浮揚を図った減税を行ってきたが、景気の落ち込みをカバーできない形となっている。

中国は国家指標を粉飾している疑惑があるが、そうだとしても、景気が後退している現状を公表せざるを得ないといえる。トランプ米大統領が仕掛ける、貿易戦争を通じた中国の「軍拡の資金源を断つ」やり方は、功を奏しつつあるようだ。

トランプ氏の"中国撤退命令"で加速する「脱中国」

トランプ氏はこのほどツイッター上で、米企業に対して「中国からの撤退」を求めたが、その動きも広がっている。

すでにグーグルやアップル、アマゾンなどの米IT大手企業は、ベトナムやフィリピンなどに生産拠点を移転することを検討している。つまり、「脱中国」の流れが加速しており、各企業は「次のパートナー」を探し始めている。

その候補となっているベトナムとフィリピンは、中国の軍事的脅威にさらされている。日米などの自由主義陣営との連携を強め、「対中包囲網」を強化することは喫緊の課題。そうした国々に拠点を移すことは、中国の覇権主義を押しとどめる意味で、正しい判断である。

日本としても、景気回復を目指すだけでなく、中国の経済的な依存度を下げるために、減税や規制緩和などで「企業の国内回帰」を後押しし、アメリカと共同歩調をとりたいところだ。

(山本慧)

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