2019年7月号記事
幸福実現党 党首
釈量子の志士奮迅
第81回
幸福実現党党首
釈量子
(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から幸福実現党党首。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
まさに全面戦争です。トランプ米政権は5月、全中国製品の4割弱に当たる2000億ドル(約22兆円)分について、関税を10%から25%に引き上げました。
さらに、まだ制裁関税がかけられていなかった残り4割強の中国製品にも、最大25%の関税をかける意向です。
中国も同規模の報復をします。米中は、全貿易品について、「関税砲」を撃ち合う形になります。
さらにトランプ政権は、ファーウェイなど中国企業の通信機器を、アメリカ国内の企業が調達することを禁じる大統領令に署名しました。
その"爆風"は、日本にも及んでいます。例えば、アメリカ向けスマホをつくっている中国企業に部品を納品してきたメーカーや、アメリカ向け製品を中国の工場で生産してきた企業、ファーウェイに部品を提供してきたソニー、村田製作所などは、業績や株価へのダメージを受け始めています。
関係者の方々には、厳しい時期が来る。そのことは、百も承知ではありますが、ここであえて、「貿易戦争の正義」に思いを馳せたいと思うのです。
中国製品が軍事費に変わる
トランプ政権の一連の施策を「保護貿易」「自由貿易の破壊者」と批判する声があります。しかし、経済学において自由貿易がよしとされてきた前提は、「公正な取引がなされる」ことであり、その結果、「お互いが恩恵を得ること」でした。
この30年ほどの中国の貿易政策は、「公正」からも「互恵」からも程遠いものです。
例えば中国は、スパイや現地法人への圧力などにより、日米の先端技術を盗んできました。
さらに、不当に人民元を安くする為替政策を続け、自国製品を異常に低い価格で輸出してきたのです。
お金の儲け方も不当でしたが、その使い方も覇道です。
昨年、貿易戦争の激化と並行し、中国共産党のさまざまな蛮行が明るみになってきました。
例えば、新疆ウイグル自治区などにおける「強制収容所」「監視システム」などの存在が、日本のメディアでも報じられ始めました。その奥には、莫大な「治安維持費」がかかっています。
さらに、経済構想「一帯一路」と称し、スリランカなど途上国にお金を貸し付け、その形として港湾などを奪っている実態なども、問題視され始めました。
また今年は、日本の4倍以上の軍事費をかけ、空母をつくり、ミサイルや戦闘機をつくり……。日本や台湾、東南アジア諸国の安全は、ますます脅かされていきます。
この莫大なお金は、「世界の工場」として日米に輸出してきた代金などで賄われてきました。トランプ政権が貿易戦争に踏み切ったのは、今も誰かを苦しめ、近い未来に誰かの命を奪うかもしれない中国の軍事資金を断つ目的があるのです。
日本の製造業は長期不況などを背景に空洞化してきた。写真:ピクスタ。
中国に依存しない経済を
そうしたなか日本政府は、トランプ政権に理解を示しつつも、貿易戦争に備える努力もするべきです。
大川隆法・幸福実現党創始者兼総裁は5月、立党10周年大会で、次のように語りました。
「(貿易戦争の波風は) 国防上の観点から見ても、乗り切っていかねばならない部分だと考えたほうがいいと思います。(中略)日本も日本なりに、日本でつくれるものは日本でつくる。同じようなものなら日本のものを買う。『バイ・ジャパニーズ』です 」
トランプ氏は大統領選挙の時より、一貫して「バイ・アメリカン(米製品を買え)」と言ってきました。そして政府機関が率先して、米製品を使うよう求める大統領令などに署名。さらには大規模な減税で国内景気を活性化させ、大手メーカーの国内回帰を推し進めました。アメリカの失業率は歴史的低水準の3.6%となり、貿易戦争の反動に耐える準備は整っています。
日本も同じく、中国市場が当てにならない時代が来るなら、日本市場を活性化させるまで。
まずは日本政府が率先垂範で、自国製品を優先的に調達する方針を打ち出す必要があります。そして、消費税の10%への引き上げは中止し、5%への減税を決断するべきです。
さらには法人税を減税し、国内へ投資した際の税の減免措置、さらには国内で事業・研究開発がしやすいように規制緩和を行っていく必要があります。
経済繁栄は、国防につながり、世界正義を実現する力にもつながります。幸福実現党は「自由・民主・信仰」の世界を守るため、全力で戦ってまいります。
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