イラスト:菊池としを
2018年1月号記事
オレたちの絆が世界を守る
2018年を「信仰」で読み解く
北朝鮮の核・ミサイル開発、中国の台頭、宗教紛争など、国際社会は混沌としている。
2018年は、さらに混迷を深めるのか。それとも新たな未来が開かれるのか。カギを握る国のリーダーたちの本心を探りながら考える。
(編集部 小川佳世子、小林真由美、片岡眞有子)
国家のリーダーを選ぶ際、あなたはどんな点に着目するか。日本なら、政策や所属政党で選ぶという人が多いだろう。
アメリカではどうか。政策や政党はもちろんだが、そこに「信仰」が加わる。成人の62%が「大統領が強い信仰心を持っていることが大事」と答えている(*1)。
宗教と政治の関わりをタブーと考える日本人には理解しにくいが、 アメリカをはじめ他国では、選挙の際、候補者の信仰の内容が問われ、時には争点になる。 信仰心が薄いと疑われれば、選挙で不利にすらなる。無神論のリーダーは、自らの考えのみで国民を支配しようとし、「歯止め」が利かなくなる恐れがあるからだ。
(*1)アメリカの世論調査機関ピュー・リサーチ・センターによる2016年の調査。
異端リーダーの本心
今、北朝鮮に対する挑発的なツイートなどで物議をかもしているトランプ米大統領をはじめ、日本の常識では「異端」に見えるリーダーが各国で活躍している。
なぜ彼らは国民に選ばれ、支持されるのか。彼らの「行動」だけに注目するマスコミの報道では分かりにくいが、「信念」や「信仰」の部分に注目すると見えてくるものがある。
トランプ氏が勝利した2016年の大統領選について、評論家の藤井厳喜氏は次のような見方を示す。「対立候補のクリントン陣営中枢は、無神論者によって占められていた。キリスト教社会アメリカを擁護しようとするトランプと、無神論を拡大しようとするクリントンの宗教戦争だった」(*2)
世界では、想像以上に「宗教」が大きな影響力を持っている。各国のリーダーたちの言動を理解し、2018年以降の国際政治を読み解く上で、宗教の理解は不可欠だ。
各国で起きている改革と、外交関係の背景について、リーダーの「信仰心」に光を当てて読み解いていく。
(*2)『トランプ革命で復活するアメリカ』(藤井厳喜著 勉誠出版刊)より。
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