事件の翌日、通州に入った日本軍救援部隊。(画像は Wikipedia より)

ユネスコ世界記憶遺産に、中国のねつ造である「南京大虐殺」資料が登録されてから、約半年。誤った歴史認識を改め、真実の歴史を広めるための次なる戦いが始まっている。

「新しい歴史教科書をつくる会」はこのほど、「通州事件・チベット侵略」と「慰安婦と日本軍規律に関する文書」の2テーマの資料を、ユネスコ記憶遺産に登録申請したと記者会見で発表した。

会見には、「通州・チベット」側からは、「通州事件アーカイブズ設立基金」の藤岡信勝代表、皿木喜久副代表、ペマギャルポ氏、三浦小太郎氏が出席。「慰安婦」側からは山本優美子氏、藤木俊一氏、藤井実彦氏が出席した。

(1) 中国による他民族虐殺の歴史

今回申請された資料の一つ目は、「20世紀中国大陸における政治暴力の記録:チベット、日本」だ。

これは、1937年に北京郊外で「冀東防共(きとうぼうきょう)」自治政府の保安隊が、婦女子を含む日本人居留民を襲撃し、約260人を虐殺した「通州事件」と、中国がこれまで120万人以上のチベット人を虐殺してきたことに関する文書だ。申請は、「通州事件アーカイブズ設立基金」と、チベットの民間団体「Gyari Bhutuk」が共同で行った。

(2) 「慰安婦問題」の誤解を解くさまざまな文書

第二の資料は、「慰安婦と日本軍規律に関する文書」だ。

この中には、33人の日本人帰還兵が慰安婦らと直に会話した内容を記録した証言集が含まれている。慰安婦は民間業者が雇用し、法的に認められた仕事であったことや、相応な自由はあり、高い報酬を得ていたため「性奴隷」ではないという主旨のことが書かれている。申請者は「なでしこアクション」、「『慰安婦の真実』国民運動」、アメリカの民間団体「The Study Group For Japan's Rebirth」。

ねつ造の歴史を晴らし、史実こそを記憶遺産に

中国の「南京大虐殺」資料は2015年10月、ユネスコ記憶遺産に登録された。しかし、登録された資料はねつ造であり、審査もずさんだったことは、本誌でも度々取り上げてきた。そもそも、「南京大虐殺」の発生自体が存在しない。それに対し、今回申請された通州事件やチベットでの虐殺は、歴史的な事実である。

慰安婦問題については、日本、韓国、中国やフィリピン、インドネシアなど数カ国の民間団体が合同で、ユネスコ記憶遺産に「旧日本軍慰安婦関連資料」を登録申請しているが、「慰安婦は性奴隷だった」という立場からの申請と見られる。そうであれば、ユネスコは史実を考慮し、却下すべきである。

真実は強く揺るがない。嘘に嘘を重ね、既成事実にしようとする中国には、いずれ厳しい反作用が来るだろう。中国による他民族の虐殺の史実を記憶遺産に登録し、慰安婦の歴史のねつ造を晴らすことで歴史認識を改めようとする、今回の試みに注目していきたい。

(小林真由美)

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