2016年、上海にあるカトリック教会のクリスマス・イブのミサで祈る女性。
2018年6月号記事
平和ムードの裏の人権弾圧
神を信じると「罪」になる国
激動の東アジア情勢を、「宗教」という切り口から読み解く。
(編集部 大塚紘子、長華子、小林真由美)
contents
平和ムードの裏の人権弾圧 神を信じると「罪」になる国 Part1
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が3月末、中国の習近平国家主席と会談するなど、東アジアに「平和ムード」が醸成されつつある。しかし、アメリカのトランプ大統領は、中朝両国を批判していた。
「北朝鮮の残忍な独裁政権ほど自国民を容赦なく抑圧してきた体制はない」
1月の一般教書演説でこう訴え、北朝鮮の人権問題を指摘した。
昨年9月の国連演説では、共産主義の中国を念頭においたとも取れる発言をしている。
「社会主義や共産主義を採用した国では、苦悩と荒廃と失敗がもたらされた。こうした信頼できないイデオロギーの教義を説く人々は、残酷な体制下で国民を苦しめ続けるだけだ」
共産主義が最も敵視するのが「宗教」だ。ここに焦点をあてて中朝両国の実態を見てみると、問題の本質が見えてくる。
宗教弾圧に表れる習近平の野望
宗教弾圧に表れる独裁の野望