《ニュース》
水道管の老朽化が進む中、全国の上水道事業の99%で取り換えなどに必要な費用が確保できない恐れがあり、費用を水道使用料だけで賄おうとすると平均で8割引き上げる必要があるとの調査結果を、財務省研究所が明らかにしました。
《詳細》
上水道の事業に必要な経費は、原則、利用する住民の利用料金で賄うことになっていますが、人口減少や節水で収入は減少傾向にあり、財源は先細りです。そうした中、古くなった水道を新しくするなどといった長期的な更新資金が確保できていない自治体が99%に上り、現在の設備を維持しつつ必要な資金を確保するには、平均して83.2%の料金値上げが必要になるといいます。
老朽化した水道管が漏水することによる事故は深刻化しています。1月に埼玉県八潮市で道路が大規模に陥没し、転落した運転手1人が亡くなった事故は、老朽化した下水管が破損したことが原因で起こりました。大野元裕知事は復旧のための費用が「300億円規模」かかると述べ、「市町村の水道料金にかけるということでよいのか、国民の議論が望まれる」と指摘しました。
他にも、4月には京都市で老朽化した水道管が破損して漏水し、国道1号が冠水したほか住宅の床下浸水が起きています。5月には大阪市城東区で老朽化した水道管が破裂し、小学校の北側の市道が冠水し、公園も浸水。6月には鎌倉市で水道管の継ぎ手が腐食して破裂し、一時1万戸が断水。鶴岡八幡宮ではトイレが使えなくなり、周辺の店舗や観光施設も休業するなど混乱が広がっています。
八潮市の事故を踏まえ、国土交通省は全国の自治体に要請して水道管の緊急点検を実施。その結果、15%ほどが「速やかな対策」か「応急措置の上で5年以内の対策」が必要と判明しました。政府は老朽化した下水管を2030年度までに更新する目標を設け、国交省が実施する補助事業などを利用して自治体の取り組みを後押しするとしています。
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