全国公開中
《本記事のポイント》
- 世界は美しいという信念
- 想像力が未来を創造する
- タイムマシンと神の心
2075年の近未来を舞台に、時を超えて空から降ってきた少年と少女の出会い、恋と冒険を描いたフランス発の長編アニメーション。
10歳の少女イリスは、不思議な虹色の物体が空から落ちてくるのを目撃する。それは、虹色の飛行スーツでタイムトラベルが可能になった未来から不時着した少年アルコだった。
未来へ帰るための手がかりを求めるアルコとイリスは、虹色のスーツに秘められた謎を解き始めるが、アルコを追跡する謎の三つ子から追撃を受けてしまう。
本作が長編アニメーション初監督となるウーゴ・ビアンブニュが5年の歳月をかけて制作し、未来への希望をあざやかな色彩で描き出す。アカデミー女優のナタリー・ポートマンが製作総指揮を務めた。第98回アカデミー賞長編アニメーション賞にノミネート。
世界は美しいという信念
この映画の特徴は、その息を呑むような映像の美しさだ。地球環境が激変し、様々な天変地異や災害に見舞われる近未来を描いているものの、それでも、その世界は限りなく美しい。未来少年アルコがやってくる世界も、既に地表に住めなくなっている地球を描いてはいるが、空中都市の間近に浮かぶ雲々のシルエットや、その合間を飛ぶ白鳥の姿は、どこまでも美しく描かれている。
こうした美しい映像の奥にあるのは、ビアンブニュ監督の、「神が創った世界は、常に限りなく美しい」という信念ではないだろうか。
それが特徴的に表れているのが、未来少年アルコが鳥たちと話をするシーンだ。イリスの家の屋上に上ったアルコが手を広げると、そこに様々な鳥が集まってきて、アルコと話を交わす。純粋な心を持った少年アルコ。未来人類は、地表に住めなくなった間に反省を重ね、心を純化し、ついに鳥の言葉を理解するまでに透明な心を持つまでに至ったのだということが暗示されている。そして、その姿は、小鳥たちと会話を交わしたという伝説が残る中世カトリックの修道僧フランチェスコを彷彿とさせる。
たとえ人類が過ちを重ね、罪深き所業を繰り返したとしても、人類を創りし神は、その立ち直りを常に温かく待ち続けている。その象徴が、どこまでも美しい地球の姿なのではないだろうか。
「『世界は美しい』ということです。
あなたが生まれて、世界は美しくなりましたか。世界はよくなりましたか。これを自分に問うてください。そして、『イエス』と言えるなら、それは人生に成功したということです。そういう気持ちで生きてください。
非常にシンプルです。
この世に生まれたことに意味を見つけ、ほかの人のお役にも立てる人生を生き切り、そして、この世を見事に卒業していくことこそ、大事なことである。そのような単純なことを教えるのが、宗教なのです」(『秘密の法』より)
想像力が未来を創造する
この映画のもう一つの特徴は、人間の持つ想像力が最大の力となって、人類の未来を明るく変えていくという考えである。
ビアンブニュ監督は「私たちが生きている現代は、不確かで、複雑で、息苦しさすら感じる。そんな現代の延長に悪い未来を描き続けた結果、実際にその一部は現実化してしまっています。こんな顛末を誰が望んでいたでしょう。この循環が続いて良いとは思いません。作者は良い未来世界を想像して、世界の人々に見せる役目を果たすべきだと、私は思います」と語る。
そして、プロデューサーを務めたナタリー・ポートマンも「監督のビジョンは、想像力により、美しい未来を作れることを示している。非常に明確で、映像的にも美しく、物語としても奥深いものだった。絶対に完成させて、世に送り出したいと思った」と語り、監督の意図を守りつつ、5人で細々と制作されていた製作体制をスタッフ250人規模まで拡大し、制作時間を大幅に短縮することに力を尽くしたのだという。
「創造的人間になるためには、まず、『想像できるかどうか』ということが重要なのです。まず、空想をしてイマジネーションを働かせることです。そして、『できるのではないか』という姿が見えたときに、それを実践に移し、やってのけたら、これが、『創り出す力』『クリエイティブ・パワー(創造力)』に変わってくるのです。
心のなかで、まず『思い』をつくる力は非常に大事なものであり、昔であれば、これは『魔法』に当たる部分なのかもしれません」(『創造的人間の秘密』より)
神の心としてのタイムマシン
この映画で描かれているタイムトラベルは、偶然の事故のように見える少年と少女の出会いが、ある種の必然であり、この必然によって、人類の未来が明るく変化していくということを描いているところが、とても特徴的だ。
それは「恩寵は自然を破壊せず、かえってこれを完成する」(トマス・アクィナス)と言われる通り、タイムトラベルという未来技術もまた、その根元においては神の恩寵であり、その力が働いているという事でもあるだろう。
大川隆法幸福の科学総裁は、自ら作詞作曲した楽曲「タイムマシン」の歌詞で、タイムマシンが「神の心」であることを次のように記している。
「捻じ曲げよ、未来を良い方向に。
(中略)
勇気を持って、希望を持って、変えていこう。
タイムマシンは機械じゃない。
タイムマシンは人の心。タイムマシンは神の心。」
心の中で描いた夢や希望が、努力を通じて、人類の未来を変えていく可能性を描いたこの作品は、世界の根源的な美しさと、人類の未来に待ち受けている試練に立ち向かうための想像力について、考えるヒントにもなるだろう。
『アルコ』
- 【公開日】
- 全国公開中
- 【スタッフ】
- 監督・脚本:ウーゴ・ビアンブニュ 製作:ナタリー・ポートマンほか
- 【配給等】
- 配給:AMGエンタテインメント、ハーク
- 【その他】
- 2025年製作 | 88分 | フランス
公式サイト https://arco-movie.jp/
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