《ニュース》
米カリフォルニア州で導入が検討されている「富裕税」をめぐり、トランプ大統領の経済顧問で「サプライサイド経済学の父」アーサー・ラッファー氏と、左派経済学者エマニュエル・サエズ氏が5日夜(現地時間)、カリフォルニア大学バークレー校のイベントに出席し、ディベートを行いました。
《詳細》
米カリフォルニア州では、純資産10億ドル(約1500億円)超の富裕層を対象に、1度限りで5%の資産課税を行う構想が浮上しています。同州の医療や食糧給付、教育などにおける財源不足を補うため、労働組合が発議しました。11月に住民投票が行われます。
この富裕税をめぐり、構想の立案に携わったカリフォルニア大学バークレー校の経済学者サエズ氏と、ラッファー氏が、青年団体主催のイベントにて2時間にわたり討論を行いました。
サエズ氏は、トランプ政権が制定した減税法案(OBBB)によってメディケイド(医療扶助制度)が削減され、その補填のために富裕税を主張しています。「億万長者の資産の平均成長率が、平均世帯所得の伸びより大きいため、格差が広がっている」とし、その莫大な利益に比べれば、5%の富裕税はごくわずかなものだと訴えました。
これに対しラッファー氏は、「カリフォルニア州は個人所得税が全米で最高の水準であり、すでに多くの人が州外に流出している」と述べ、「成長が鈍く、人口が減少し、業績も振るわない州を、税金を課すだけで繁栄させようとするのは無理だ」と反論します。「増税によって富裕層が脱出すれば、所得税も売上税(日本の消費税に相当)も、固定資産税も失うことになる。その結果、カリフォルニア州の税収総額は極めて急激に減少するだろう」と指摘しました。
サエズ氏は、富裕層全員が脱出するわけではないとし、「課税によって継続的に得られる資産税収と、富裕層の流出による損失にはトレードオフが存在する。実証的推計に基づけば、資産税が比較的緩やかであるかぎり、このトレードオフは有利に働く」と主張しました。
これにラッファー氏は、「富裕層の『収益』だけを見ればそうかもしれないが、彼らは工場を移転したり、従業員を連れて行ったりしてしまうため、州内で商品やサービスを買わなくなることで売上税収が減り、所得税収も減る」と異議を唱えました。
ディベートを通じてラッファー氏が何度も強調していたのは、「増税によっては繁栄できない」ということです。「経済学はインセンティブ(働く意欲)の学問」であり、「働く人に課税し、働かない人に給付を行い、働かない人が大幅に増えるのは当然である」といいます。
そして、「減税」の成果も強調しました。州の所得税がない9州を例に挙げ、国内総生産(GDP)に占める9州のGDPの割合が、70年間で11%から23%に倍増していると指摘。サエズ氏から「あなたは理想主義者だ」と言われたことに対しては、レーガン政権下で実際に「減税による繁栄」を主導したという「実績」を示しました。
ディベートは大いに盛り上がり、その後の質疑応答の際にも、学生の質問のレベルの高さに会場からは拍手が沸き起こりました。
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