参院選 中国・北朝鮮にどう対処する?(そもそも解説)
2013.05.01
国防編 中国・北朝鮮にどう対処する?(そもそも解説)
戦後の日本はアメリカに守られてきましたが、もうアメリカ依存では国を守れません。では、今、日本がとるべき防衛・外交戦略とは何でしょうか。
日本は第二次大戦後、アメリカを中心とする連合国軍総司令部(GHQ)から、戦争することも軍隊を持つことも許さない占領憲法を押しつけられました。
ただ、1950年に朝鮮戦争が起きたとき、アメリカから、憲法を改正して独自の防衛力を持つよう要請されました。しかし、当時の吉田茂首相は、「国防はアメリカに任せ、日本は経済活動に専念する」という方針を貫きました。
米ソの冷戦が続いたこともあって、戦後70年近くもの間、日本は「世界の警察官」のアメリカに守られ続けてきたのです。
近年、日本を取り巻く情勢は一変しています。ソ連の脅威がなくなった代わりに、強大な軍事力と経済力を持った中国が、北朝鮮を利用しながら横暴に振る舞うようになりました。
その一方で、アメリカの力が衰えています。オバマ政権は、財政赤字の解消などの内政問題に重点を置き、「世界の警察官」の役割を放棄し始めています。二期目にアジアに関心の薄いケリー氏が国務長官(外相)に就任すると、「不介入主義」のオバマ色が外交の前面に現れてきました。中東のシリアでは2年も続く内戦で7万人以上の死者が出ていますが、アメリカは言い訳をして介入していません。正義や人権の価値を守るために、多少の犠牲もいとわなかった従来の姿はもう見られません。
4月、北朝鮮のミサイル恫喝の際、ケリー長官が韓国、中国、日本を訪問しましたが、そこで発されたのは、対話や自制を求めるという緊張緩和を目指したメッセージばかりでした。アメリカは、東アジアの問題を中国に任せ、手を引いているようにも見えます。
それを裏付けるように、ケリー長官の東アジア歴訪直後から、中国が大胆に日本を挑発するようになりました。4月16日に発表した国防白書では、尖閣諸島の問題について「日本が騒動を引き起こした」と名指しで批判。23日には、尖閣付近の領海に、中国の監視船8隻が侵入し、40機以上の軍用機が周辺を飛来するという前代未聞の威嚇行為を行いました。5月には驚くことに、中国共産党の機関紙・人民日報を通じて、沖縄も中国の領土と言わんばかりの主張を始めました。
そんな中でも、自民党は、アメリカ依存の体質を引きずっています。安倍政権はミサイル問題で、「話し合い路線」のケリー長官と歩調を合わせただけ。また4月下旬、日米の防衛トップ会談で、ヘーゲル国防長官が「尖閣は日米安保の適用範囲である」と発言しましたが、この言葉を言ってもらうために、小野寺防衛相サイドは奔走したといいます。
これに対して、幸福実現党は「自分の国は自分で守る」と明言しています。北の核実験や、中国の監視船・軍用機が尖閣周辺に押し寄せた際には相次いで声明を発表。「敵基地攻撃能力や、日本独自の核抑止能力を持つべき」と訴えました。
東アジアに「正義」による秩序をもたらすためには、アメリカを巻き込むことは大事ですが、北朝鮮・中国問題は、日本にとって国家存亡の危機です。受け身ではなく、主導的に問題解決に動くべきです。
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