釈量子の志士奮迅 [第98回] - 地球を覆う「炭素全体主義」
2020.11.29
2021年1月号記事
幸福実現党 党首
釈量子の志士奮迅
第98回
幸福実現党党首
釈量子
(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から幸福実現党党首。
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地球を覆う「炭素全体主義」
米大統領選で、バイデン氏勝利の既成事実化が図られるさなか、「パリ協定」から脱退したトランプ大統領を「非科学的だ」と批判してきた勢力が色めき立っています。
フランスのパリ市長が「アメリカよ、お帰りなさい」とツイートするなど、「アメリカの協定復帰を皮切りに、世界中を『脱炭素』で染め上げよう」という空気が醸成されつつあり、日本もそこになだれ込もうとしています。
菅義偉首相は大統領選に先立つ10月、所信表明演説で「2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする」と宣言。小泉進次郎環境相はアメリカで開票が始まったばかりの段階で、「(バイデン候補が勝てば)日米関係はカーボンニュートラル同盟だ」と発言するなどしています。
"トランプ氏敗北による脱炭素ムーブメント"に乗り遅れまいとしているかのようです。
CO2説こそ非科学的!?
「地球温暖化の原因はCO2」という説を、バッサリ一刀両断したのが、トランプ氏でした。それは科学的根拠に基づく見解です。
脱炭素化を主導するのが、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」です。しかし、同組織が示す気候観測データについて、米国海洋大気庁(NOAA)は「人工衛星から測定した温度によると、実際の温暖化ははるかに緩やかである」と指摘しています。IPCCが用いているコンピューター・シミュレーション「地球気候モデル(GCM)」も、気温上昇におけるCO2の役割が過大評価されていると言われています。
そもそも地球温暖化は今日のように化石エネルギーを使用していなかった1850年ごろから始まっています。その原因はCO2ではなく、寒冷期と温暖期を繰り返す地球の自然のサイクルだと指摘する地球物理学者も、数多く存在します。
トランプ氏は「科学的根拠の薄い地球温暖化論で経済活動に制約をかけることが不合理」だと判断し、パリ協定脱退に至ったのです。それに「非科学的」とレッテルを貼り、マスコミがセンセーショナルに批判する。地球規模で「炭素全体主義」がまかり通っていると言っていいでしょう。
温暖化より戦争が怖い
日本も、こうした空気に呑まれるなら、大変な危険に晒されることになります。
政府は、「脱炭素」につながる風力などの設備投資への優遇税制を検討しています。一方、CO2排出に対しては、「増税」も用意しています。
財務省出身の中井徳太郎氏が7月、環境省事務次官の就任会見で「炭素税」の必要性に言及しました。CO2 1トンあたり数千円から1万円の高税率が検討されていると言われており、もしスウェーデン並みに1トン1万5千円の課税がなされれば、「ガソリン満タン35リットル」で約1200円の負担増になります。ガソリンや灯油、輸送コスト、電気やガス料金などに影響が及び、経済は大打撃を受けます。
菅首相は、カーボンニュートラルを目指す技術への莫大な投資で、経済と環境の好循環が到来すると主張しています。しかし、それほど経済効果が期待できるなら、民間がとっくに投資しているはずで、国民の血税を吸い上げてばら撒く「大きな政府」が加速すれば、コロナ禍であえぐ企業の足かせになることは確実です。
安全保障上の危機もやってきます。まず、日本の電源構成比で3割を占める石炭火力への風当たりは強くなるでしょう。そうなると、相次ぐ原発停止で高まっていたLNGへの依存度がさらに高まります。
その海上輸送路が通る南シナ海や台湾近海などは、中国が10月末の重要会議「5中総会」で「戦争に備えた訓練の全面強化」を確認するなど、軍事的緊張が高まっています。有事の際は、日本のエネルギーがストップする可能性が非常に高いです。
コロナ戦争でアメリカが中国に敗れたような形となり、国際情勢が不安定化する中、「日本としてエネルギー供給を安定させること」は喫緊の課題です。
極端な仮説にすぎない「CO2=地球温暖化」論に惑わされることなく、国として何をなすべきかを考えていく必要があります。
「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
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