《ニュース》

3月に起きたミャンマーを震源地とするマグニチュード(M)7.7の大地震に際し、タイで建設中のビルが倒壊しました。この施工を請け負っていた中国国有企業が、手抜き工事を行っていた疑惑が浮上し、波紋を呼んでいます。

《詳細》

3月28日に起きた大地震では、隣国タイの首都・バンコクも大きな揺れに襲われました。高層ビルを含むほとんどの建物は、大きな被害が報告されなかったものの、唯一、建設途中だった33階建ての超高層ビルが倒壊しました。

ビルは揺れ始めて数秒にして、瓦礫の山と化しました。4月2日の時点で、少なくとも13人が死亡。70人以上が瓦礫の下に閉じ込められ、生存の可能性が低くなっていると報じられていました。タイ国内で確認された犠牲者が20人とされているなか(2日時点)、ほとんどの被害が同ビルの崩壊によるものとなりました。

問題になっているのは、同ビルの施工を主に担っていた中国国有企業が、安全性をないがしろにした手抜き工事を行っていたという疑惑です。

事故を重大視した当局が、コンクリートの柱に使われた鉄筋を調べると、必要な強度を満たさない規格外品が3割含まれていたと言います。さらに事故直後、同企業の中国人社員ら4人が、立ち入り禁止の現場に無断侵入し、逮捕されました。ビルの設計図や関係書類を持ち出そうとしており、何らかの証拠隠滅を図ったと見られています。

タイ国民からは激しい怒りの声が上がり、ペートンタン・シナワット首相は「どこでミスが起きたのかを調査する必要がある」と徹底的な調査を命じました。

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