アジア太平洋交流学会会長・目白大学大学院講師
澁谷 司
(しぶや・つかさ)1953年、東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学などで非常勤講師を歴任。2004年夏~05年夏にかけて台湾の明道管理学院(現・明道大学)で教鞭をとる。11年4月~14年3月まで拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。20年3月まで、拓殖大学海外事情研究所教授。著書に『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界)、『2017年から始まる! 「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)など。
台湾をめぐって習近平・中国国家主席がしたとされる発言が、波紋を呼んでいる。
6月16日付『フィナンシャル・タイムズ』紙が、昨年4月、習近平主席が欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長に「ワシントンは北京を煽動して台湾を攻撃させようとしているが、自分はその餌には乗らない」と述べたと報じたのだ(*1)。
米国務省のマシュー・ミラー報道官はすぐさまその主張を否定し、記者団にこう語っている(*2)。
「確かに正確ではない。われわれは、中国政府の高官に直接言ったことも含め、われわれの『一つの中国』政策は変わっていないと明言してきた。今後も変わることはなく、台湾海峡両岸に共通の安定を求め続ける」
(*1) 2024年6月16日付『Financial Times』
(*2) 2024年6月18日付『Independent』
浅はかな考えを世界にさらけ出す?
この習発言に対する、評論家・顔純鈎の分析が鋭い。顔は、習主席が「米国が中国に台湾攻撃の罠を仕掛けたと言った」という話を聞いた時、主席の愚かさを嘲笑するために作られたジョークだと思っていたという(*3)。