アジア太平洋交流学会会長・目白大学大学院講師
澁谷 司
(しぶや・つかさ)1953年、東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学などで非常勤講師を歴任。2004年夏~05年夏にかけて台湾の明道管理学院(現・明道大学)で教鞭をとる。11年4月~14年3月まで拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。20年3月まで、拓殖大学海外事情研究所教授。著書に『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界)、『2017年から始まる! 「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)など。
5月20日、台湾の頼清徳総統と蕭美琴副総統が就任した。当日の朝、台北の総統府で行なわれた式典では、頼・蕭正副総統は、中華民国の創始者、孫文の肖像画の下で宣誓を行っている(*1)。
頼清徳は、立法院長の韓国瑜から総統の権力を象徴する2つの印章(中華民国印章と栄誉印章)を授与された。どちらも1949年、「国共内戦」で共産党に敗れた国民党が台湾へ持ち込んだものである。
当日の式典には29カ国の代表が参加した。その中には、中南米で台湾と唯一国交のあるパラグアイのペニャ大統領や、太平洋における正式外交を持つ諸国、バチカン(ローマ法王庁)も含まれていた。
他方、マイク・ポンペイオ前米国務長官、ダリア・グリバウスカイテ前リトアニア大統領、また北京と正式な関係を維持する国々も、「経済」「貿易」事務所の代表が事実上の外交使節団として台湾へ派遣された。
頼総統は、就任演説で台湾海峡両岸の将来が世界情勢に多大な影響を与えるとし、「民主化された台湾を引き継ぐ私たちが平和の舵取りをする」と宣言した(*2)。
また、「中国は台湾に対し軍事力の行使をやめ、台湾と共に、台湾海峡と地域の平和と安定を維持するよう、世界的な責任を負う」と呼びかけた。
さらに、「中華民国と中華人民共和国は互いに従属しない」とし、台湾のいかなる政党も中国による"台湾併合"に反対し、台湾の主権を守るべきだと強調した。
その他、頼総統は、「台湾は戦略的に『第一列島線』に位置し、世界の地政学的発展に影響を与える。今日、台湾の役割はさらに重要になってきている」と述べた。