《ニュース》
中国の王毅外相が、4月に安全保障協定を結んだばかりのソロモン諸島をはじめ、太平洋の島しょ国歴訪を開始しました。中国は事前に、南太平洋の島しょ10カ国に共同声明案などを送付。その内容について、ミクロネシア連邦の大統領が「地域支配の意図がある」と懸念の声を上げています。
《詳細》
4月に中国とソロモン諸島が結んだ協定の内容は公表されていませんが、報道によると「必要に応じて寄港し、兵站補給ができる」内容を含んでいるといいます。
王毅外相はソロモンに軍事基地をつくる意図は「ない」と主張していますが、事実上の軍港として利用できると見られます。グアムに基地を持つ米軍の西太平洋での影響力を削ぎ、アジア有事の際の米軍の支援を阻止できる、との指摘もあります。
中国は30日、フィジーで島しょ10カ国との外相会議を開催する予定です。事前に送付された声明と協定案の中には、中国による数億円規模の援助、自由貿易協定の展望、中国市場への参入機会提供、孔子学院の設立などが挙げられています。また、中国による各国の警察の訓練、サイバー安全保障への関与、政治的関係の拡大、海洋地図の作成、天然資源の利用拡大を求めるものです。
アメリカとの関係が深いミクロネシア連邦のパニュエロ大統領は、協定案に関して太平洋地域の指導者に警告文書を送付。この協定が、中国による政治介入を可能とし、主要産業の支配、電話や電子メールの監視を可能にするものであるなどと警告しました。
パニュエロ氏は、各国がこの協定に調印した場合、「中国が台湾に侵攻してアメリカや同盟国との軍事的な衝突が起きる可能性が高くなるし、太平洋各国も損害を被ることになる」とし、「太平洋上の『新たな冷戦』を引き起こすことになり、最悪の場合は世界大戦につながる」と訴えています。
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