2020年9月号記事
幸福実現党 党首
釈量子の志士奮迅
第94回
幸福実現党党首
釈量子
(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から幸福実現党党首。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
『大川隆法 政治思想の源流』を学ぶ
『大川隆法思想の源流』がこのほど、発刊されました。
大川隆法・幸福実現党総裁は、東大法学部3年生になる春休み、国際政治学の篠原ゼミに入る審査のために、論文「H・アレントの『価値世界』について」を執筆。当時、日本にはアレントに関する参考文献がまだ一冊もない中、主要な著作群を原著も含めて読破して書かれたそうです。
同書には、その「伝説の論文」が特別収録(第三章)されたとあって、党員の間でも衝撃が走りました。
全体主義と思想で戦ったアレント
写真:akg-images/アフロ
アレントは、ドイツ系ユダヤ人の女性政治哲学者です。ナチスの台頭から逃れてアメリカに渡るのですが、世界は第二次大戦へ突入します。終戦後、ソ連が大国化し、世界が核の恐怖にさらされていくのを、アレントは目の当たりにします。
そんな危機の時代の中、アレントは「全体主義」を生んだ時代の闇に「思想」で戦いを挑み、未来へ希望を灯しつつ1975年に没しました。
哲学や宗教、歴史など広範な知識・教養がなければ読み解けないアレント哲学の全貌を、21歳にして「解剖」してのけること自体が驚天動地なのですが、総裁の論文は教授や法学部生からも「難解」と評されたそうです。
歯が立たないのは承知の上、私も"格闘"させていただきました。長年、大川総裁の説く仏法真理を学んできた者としては、幸福の科学の聖典『太陽の法』をはじめとする基本三部作につながる思考の枠組みなども垣間見え、この世ならざる神の視点を感じます。思わず知らず、熱いものが込み上げてきました。
政治哲学に造詣が深く、アレントの著作群にも通じておられる方からは「独創性に度肝を抜かれる」という感想を伺いました。ぜひ一人でも多くの方にお読みいただきたいと思います。
政治活動は神に向かうべき
ではなぜ今、「政治思想」に立ち返る必要があるのでしょうか。
それは、再び世界が漂流し、「全体主義」の危機にさらされているからです。一人ひとりが「政治哲学」を基に「考える」ことで、新しい時代を生み出していけるのです。
例えば、大川総裁はアレント哲学の特徴として、「価値」秩序の頂点の向かう先が「神」であると指摘します。
アレントは人間の行為を四つの類型に分けていますが、そこでも、修道院で神に祈るような「観照」的生活を最上のものとしています。
それに続くのが「活動」。つまり、死すべき定めにある人間が、不死性を求めて積極的に政治に参加することです。だからこそ、政治的自由は尊いのです。
その次に、知的な価値を含む「仕事」と単純作業の「労働」が続きます。この二つを分けたことで、アレントは労働を最高の価値とするマルクス主義も斬るという「功績」も残した─こう大川総裁は洞察しています。
今、こうした神の秩序に真っ向から歯向かおうとしているのが、中国共産党です。
「自由の創設」こそ革命の本質
アレントは著書『革命について』において、「真の革命は『自由の創設』でなければならない」と主張します。ここから、「革命は銃口から生まれる」といった毛沢東革命の本質は、アレントに言わせれば、「暴力(テロル)」であり、本来の「革命」とは正反対のものだと判断できます。
このように、ユニバーサルな「思想」の次元から「考えることができる人」こそ、真の民主主義の担い手になっていくはずです。
神を信じる人々が立ち上がり、自由を求める「香港革命」は積極的に支持すべきものです。
日本では、安倍政権や小池都政が独裁的な政治手法をちらつかせていますが、自由を消滅させる全体主義化には警戒が必要です。「コロナ対策」の名の下、政府が休業要請をして補償金などをばら撒くやり方や、マイナンバーと銀行口座を紐づけて、個人の私有財産を把握できるようにする流れとは、自由の哲学がなければ戦えません。
時代を変える原動力は、マスコミのつくる「空気」ではありません。あくまでも、「思想」の力です。
私たち幸福実現党は、一陣の時代精神の風が吹き始めていることを、日本中に伝えてまいります。