《本記事のポイント》
- バイデン氏の4兆ドルもの増税で、国内回帰は失敗する
- 気候変動対策に2兆ドルもの無駄遣い
- 時宜をわきまえない増税で恐慌へ
ジョー・バイデン元副大統領が大統領選で掲げる経済政策が出そろい始めた。キャンペーン・フレーズは「よりよく立て直す(Build Back America)」。政府が自国製品の使用を優先する「バイ・アメリカン」によって中間層を支え、強靭な経済の実現を目指している。
一見、トランプ大統領が2016年の選挙キャンペーンで掲げた政策を彷彿とさせる。しかしそれを達成する手法は180度異なる。
バイデン氏は、トランプ氏が行った2017年の大型減税政策や規制緩和を「富裕層しか潤さなかった」として否定。総額で4兆ドルの増税を行うという。国家が丸抱えで国民の面倒を見る「大きな政府」へと戻っていく予定だ。
富裕層ではなく中間層も打撃を受ける
主張内容には矛盾も見られる。バイデン氏は、「中間層を支える」と訴える。しかし、全米税制改革評議会(Americans for Tax Reform)によると、実際は収入が7万3000ドル(約830万円)の中間所得層も年間2000ドル(約22万円)の増税になる。年収4万1000ドル(451万円)の母子家庭も、1300ドル(約14万円)の増税になる。
法人税の増税で、国内産業の空洞化
バイデン氏は、トランプ氏が35%から21%に下げた法人税も、28%か35%に引き上げるという。
トランプ氏は、世界で7番目に高かった法人税を主要先進国平均22.5%以下の21%に引き下げて、競争力を高めた。この減税措置と、海外に留保されている利益を米国内に還流されたものとして扱い、一回限りの低率での課税を行う「レパトリ減税」で、国内回帰する米企業も多かった。法人税率の引き上げは、バイデン氏の意図とは逆に、再度、企業の国外流出を招くことになりそうだ。
キャピタルゲイン課税は約2倍に
さらにバイデン氏は株式の取引などでかかるキャピタルゲイン税を現在の20%から39.6%に引き上げるという。1977年のジミー・カーター大統領以来の高税率だ。
これはすべての層に影響を与えることになる。
米国では、レーガン政権が、個人の年金を積み立てる確定拠出年金(401(k))と個人退職勘定(IRA)という2つの私的年金を充実させた。
私的年金なら、利子も付き、子孫に財産を残すこともできるため、すべての世代が退職後に備え、私的年金に貯蓄している。これは株式で運用が行われているため、キャピタルゲイン課税の対象になるのだ。
ちなみにカーター政権は1970年代の不況時、キャピタルゲイン課税を39.875%に引き上げた。しかし共和党員だけでなく民主党員からも反対の声が上がり、キャピタルゲイン減税法成立に追い込まれた。
気候変動対策に2兆ドル(約220兆円)投資
環境政策も米国民に負担を強いる。
民主党は排ガスを2035年までにゼロにすることを目指している。その実現のため、バイデン氏は14日、気候変動問題に対処するため発電所などのインフラに4年間で計2兆ドル(約220兆円)を投資すると発表した。これは企業が安価なエネルギーを手に入れることを困難にするため、事実上のエネルギー税にもあたるだろう。
民主党は地球温暖化問題こそ人類存続の鍵だと考えており、温暖化には科学的根拠があるとして莫大な国家予算を投じる予定だ。
しかし、そのような前提は正しいのか。大川隆法・幸福の科学総裁は著書『光と闇の戦い』(幸福の科学の精舎・支部のみで頒布)の中でこう指摘する。
「私には、『地球が、食料をもっと増産できる態勢へ向かおうとしている』と思えます。もし、温暖化によって海水の蒸発量が増え、雨がより多く降ることになるとしても、サバンナ地帯や砂漠地方に雨が降るようになれば、現在、植物が生えていない地帯が、田畑に変わっていくための条件ができてきます。
今、世界の人口は百億人に向かって増え続けているので、『地球自体が、もっと多くの生物が住めるような環境に、自分を変化させようとしている』と思えるのです」
温暖化脅威論者は、CO2の負の側面を強調し、温暖化が飢餓を減らしている面を無視している。
不況時の増税は恐慌を招く
このようにバイデン氏の政策は、増税プランが目白押しなのだが、さらに悪いのがタイミングだ。
1930年代の世界恐慌が長引いたのは、連邦レベルと州レベルで増税が行われたからだと言われている。バイデン氏の気候変動対策による雇用の創出を、ルーズベルト大統領のニューディール政策になぞらえる向きもあるが、実際、ニューディールに効果はなく、1939年に第二次世界大戦にアメリカが参戦したことで、初めて景気が回復したと言われている。
そもそも民主党が生活を守りたいと考えている黒人やヒスパニック、ハイスクールの途中退学者などは、トランプ政権下で最も恩恵を受けた。中間所得層の賃金は6000ドルも上がり、経済に関するトランプ氏の支持率は1月の時点で、63%と極めて高い。
バイデン氏はこうしたトランプ氏の成果をすべて取り消すことになる。
リベラルな世界秩序の回復を目指す民主党の外交・国防政策もとん挫するだろう。日本はバイデン大統領が選出された場合に備えておかねばならないのは言うまでもない。
(長華子)
【関連書籍】
『現代の自助論を求めて』
幸福の科学出版 大川隆法著
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