2020年3月号記事
2020年代の「中国離脱」戦略
中国バブル崩壊や、中東情勢などに端を発する世界同時不況の可能性──。
国際経済の見通しが不透明になる中、日本は最悪の事態に備えなければならない。
そこで重要になるのは、国内のお金の循環をよくし、将来の富を生む産業を創ることだ。
本特集では2つのパートに分けて、日本を繁栄に導く国家戦略に迫る。
contents
2020年代の「中国離脱」戦略Part01 202X年、中国バブル崩壊で地銀9割消滅? 日本の銀行を救う5つの方法
Part01
202X年、中国バブル崩壊で地銀9割消滅?
日本の銀行を救う5つの方法
本誌 p.24~Introduction
本誌 p.28~日本国民の預金が中国に流れている
本誌 p.30~マイナス金利が中国経済を延命させる
本誌 p.32~中国経済崩壊への備え
本誌 p.34~「中国離脱」こそ、日本の生き筋
Part02
新・ニッポンのものづくり
中国に勝つ「未来産業革命」
本誌 p.36~Introduction
本誌 p.37~技術を奪い、繁栄する中国
本誌 p.39~産業化に向けて、日本が高めるべき力
本誌 p.44~今、求められる「創造的頭脳」
本誌 p.50~まとめ──政府がとるべき戦略
2020年代の「中国離脱」戦略Part01
202X年、中国バブル崩壊で地銀9割消滅?
日本の銀行を救う5つの方法
米中覇権戦争が続く中、日本はどちらにつくか態度を曖昧にしている。
また、中東などでは戦争リスクが高まっている。
世界経済が不安定化する中、日本政府が動かなければ、銀行は危機を迎えるだろう。
(編集部 山本慧、長華子)
「銀行員なら、みんな将来に不安を覚えていると思いますよ。この先どうすればいいかって」
四国地方の銀行員はこう話す。
「銀行の本業は、お金を貸して金利を稼ぐことです。でもお金を貸しても極端な場合、金利は1%を切ることもあります。
それに銀行の数が多いために、こちらの銀行が貸している企業に対し、競合する銀行が安い金利で貸そうとするといった金利の引き下げ競争が起きています。銀行同士でお互いの首を絞めているのです。
だから周囲の行員は、『こんなこといつまでも続けられない』という危機意識を持っています」
貸し出し金利が1%の場合、企業に1億円を貸しても利益はたったの100万円。金利の収入が減っているため各銀行は、店舗や人員、ATMなどを維持する経費をまかなえず、規模を縮小する方向に進んでいる。
2019年3月期決算では、東京証券取引所などに上場する地銀78行のうち、54行が利益を減らすか、赤字となった。28年には、約6割の地銀が赤字に陥る見通しだ。
中国地方の銀行員はこう嘆く。
「銀行は企業を育てることが使命ですが、ほとんどそれが果たせていません。企業の成長性より、担保の有無で貸し出しを決める従来のやり方から脱却できていないからです。
本業で稼ぎづらくなっているので、コンサルティング料や投資信託の販売などで生き残りを図っています」
銀行を苦しめる4つの要因
銀行救済5つの方法
Interview 1 日本国民の預金が中国に流れている 田村 秀男氏
Interview 2 マイナス金利が中国経済を延命させる クリストファー・リングル氏
Interview 3 金融危機への4つの備え 鈴木 真実哉氏
金融関係者に聞く企業の資産防衛
「中国離脱」こそ日本の生き筋