保守系雑誌を代表する「WiLL(ウイル)」誌が6月末発売の8月号、7月末発売の9月号に、連続して宏洋氏による幸福の科学批判の記事を掲載したことは、本欄でも報じた(2019年7月26日付本欄 WiLL誌が再び「宏洋氏の嘘」掲載 慰安婦の「証言」を広める左翼メディアと同類 参照)。
そうした中、大川隆法・幸福の科学総裁が7月下旬、WiLL誌の編集長・立林昭彦(たてばやし・あきひこ)氏の守護霊を招いた。霊言は、『「月刊WiLL」立林編集長リーディング』として全国の書店で発刊されている。
取材されるのは苦手だと言いながら現れた立林編集長の守護霊(以下、立林氏守護霊)は、「 ご長男が、公の目に触れる発信の仕方で、外に発表している以上、自分に責任が当然生じる 」と言いつつ、「 言論はゲームですから。『言葉のやり取り』をすることによって、お互いに、正しいか正しくないかを試すゲームの場 」などと語った。
あくまでも、「言論の場」を提供するのが自身の仕事であり、価値中立というスタンスで、言論の中身の是非は判断を読者に投げているという。本来、言論には責任が伴うはずだが、この辺りにWiLL誌の限界が垣間見える。
「幸福実現党に選挙から手を引いてほしいという願望」
奇妙なのは、WiLL誌に宏洋氏の記事が掲載されたのが、7月の参院選直前というタイミングだったことだ。
参院選には、幸福の科学を母体とする宗教政党・幸福実現党も挑んでいた。この参院選に合わせるように、WiLL誌が、自民党の安倍晋三首相の対談記事、菅義偉官房長官の寄稿も相次いで掲載したことを考えると、ますますあやしく見えてくる。
以下の表は、大まかな時間の流れだ。
WiLL誌の記事と参院選をめぐる動き
5月26日 | 「WiLL」7月号発売: 安倍首相の対談記事を掲載 |
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6月25日付 | 幸福の科学が、宏洋氏を懲戒免職処分 |
6月26日 | 「WiLL」8月号発売: 菅義偉官房長官の寄稿を掲載 1回目の宏洋氏による幸福の科学批判記事を掲載 |
6月28日 | 幸福の科学などが、名誉毀損で宏洋氏を東京地裁に提訴 |
7月4日 | 参院選の公示 |
7月21日 | 参院選の投開票 |
7月26日 | 「WiLL」9月号発売:幸福の科学広報局の宏洋氏への反論記事を掲載 2回目の宏洋氏による幸福の科学批判記事を掲載 |
霊言では、この共時性について、質問者が「幸福実現党への選挙妨害ではないか」と指摘。すると立林氏守護霊は「 忖度はありえるかもしれないけど、『頼まれてやった』と言えば、クビですから。それは言えない。 〈中略〉 幸福実現党への選挙妨害じゃなくて、「もう、選挙から手を引いてほしい」という (自民党の) 願望ですよね 」と明かした。
ちなみに、幸福の科学広報局によると、宏洋氏の教団批判の記事は、1回目も2回目も、掲載前に教団側に何の裏取り取材もなく、だまし討ちのように突然掲載されたという。
また、2回目の宏洋氏の記事は、教団が宏洋氏を懲戒免職処分とし、名誉毀損などで提訴した後に掲載された。WiLL誌はその事実を知りながら、何食わぬ顔で再び載せたことになる。
幸福実現党に保守票が流れないように幸福の科学グループへのネガティブキャンペーンを張り、保守票を自民党に集め、安倍政権を守り、保守系言論誌としての存続を図る。そんな構図が浮かんでくる。
宗教を「善なる存在」として報道するのが世界標準
霊言の後半で、立林氏守護霊はマスコミの習性について、こう語った。
「 批判をする対象がね、権力を持っているか、なかで権勢を持ちつつある場合だわね。そういう、パワーを持ちかかってきているものに対する"牽制球"を投げる余地は、マスコミにはあるからね。言論でもって沈没してしまう人もいるしね。あるいは、政治家であれば、クビになる人も出てきたりしますから。 〈中略〉 そういう習性の中で生きているので、私たちは必ずしも表側の存在とは思っていませんけれども、やっぱり、隙を見たら、ちょっと食いつきたくなる気はある 」
霊言を通じて一貫していたのは、立林氏守護霊が、宗教や信仰という目に見えない世界の価値を理解できていないという点だ。
だが世界に目を向ければ、マスコミは宗教に対し、基本的に「善」なる存在として報道するのが世界標準である。
多くの国では、テレビの良心的コンテンツの重要部分を宗教が占めている。
例えば、アメリカでは日曜の午前中などに多くのテレビ局でキリスト教の説教が流れ、フルタイムの宗教専門チャンネルも多い。
世界最大の宗教テレビ局であり、全米一視聴されていると自認する「トリニティ・ブロードキャスティング・ネットワーク(TBN)」は、キリスト教の信仰に基づいた番組を24時間放送しており、アメリカ国内では98%の人が視聴可能となるほどの巨大ネットワークを築く。
「クリスチャン・ブロードキャスティング・ネットワーク(CBN)」も、ニュースをはじめさまざまなチャンネルを持ち、アメリカ国内の97%、世界138カ国で視聴できるという。
多くの人々が、日常的に宗教家の説法や、宗教思想をベースにした情報発信に慣れ親しんでいる。
マスコミ人としての気概を忘れ、「空の袋」状態なら、WiLL誌の未来も危うい
過去において、大川総裁の海外講演も、複数の現地マスコミが報道してきた。
例えば、2011年3月のネパール講演では、総裁の英語説法の様子を国営放送局と民放テレビ2局がネパール全土に生中継。同月のインド・ブッダガヤ講演でも、新聞・雑誌・テレビなどマスコミ20社が取材に訪れ、テレビ中継された。
日本のマスコミは「言論の自由」を盾に、軽々しく宗教を冒涜するきらいがある。
だが、「心の中で何を信じるか」という内心の自由、信教の自由が先にあり、そこから、言論の自由、出版の自由、表現の自由、行動の自由などさまざまな自由が生まれている。つまり、信教の自由がないところには、言論の自由もない。
編集のトップである立林氏がマスコミ人としての気概を忘れ、「世界標準」の考え方や宗教・信仰における理解も乏しく、「空の袋」の状態であり続けるのであれば、WiLL誌の未来も危ういだろう。
【関連動画】
【緊急座談会】大川宏洋氏から被害を受けた関係者が集結!【ザ・ファクト】
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【緊急鼎談】月刊「WiLL8月号」大川宏洋氏による誹謗中傷記事のウソを暴く!~内情を知る関係者が真相を語る【ザ・ファクト】
https://www.youtube.com/watch?v=LadUqr8-aj0&t=410s
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2019年7月4日付本欄 教団批判の奥にある宏洋氏の「欲望」 【宏洋氏の嘘を検証する(3)】
https://the-liberty.com/article/15984/
2019年6月27日付本欄 嘘をつくことは「言論の自由」ではない 【宏洋氏・保守雑誌「WiLL」の嘘(3)】
https://the-liberty.com/article/15955/
2019年6月26日付本欄 幸福の科学が大川宏洋氏を懲戒免職処分