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《本記事のポイント》

  • 「ウルムチ事件」から10年が過ぎた
  • 自民党や野党は中国の人権弾圧に沈黙を続けている
  • 世界に「オピニオン」を発信できる日本であるべき

ウイグル人による大規模な抗議活動が、中国政府に制圧された「ウルムチ事件」から10年を迎えた。

2009年7月5日、中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで、漢民族とウイグル人が衝突した。これを中国政府が鎮圧し、多数の死傷者が出た。

中国当局によれば、197人のウイグル人が死亡したとされるが、亡命ウイグル人で構成する世界ウイグル会議は1000人から3000人が死亡したと発表している。1949年に中華人民共和国の建国以来、最大規模とも言える民族衝突だ。

事件から10年を迎えるにあたり、世界各国のメディアがウイグルに再注目している。

英BBCは「中国のムスリム : 新疆自治区の学校は、子供を家族から引き離すために使われている」と題し、中国政府がウイグル人の子供から、イスラム教の信仰やウイグル語などを奪っていると批判(4日付電子版)。米ニューズウィークや米政府系放送ボイス・オブ・アメリカ、日本各紙も、中国政府によるウイグル人弾圧の現状を報じた。

一方、中国政府はこうした批判に"打ち返し"を試みている。中国メディアは事件から10年を迎えた5日、自治区の安定を強調する記事を次々と掲載。政府も、欧米諸国から問題視されているウイグルの強制収容所について、昨年10月に条例を改正し、施設を合法化した。

中国政府による人権弾圧は、とどまる気配がない。

だんまりを続ける自民と野党

世界各国が注目する問題に対して、自民党は静観を続けている。

中国政府の機嫌を損ねて、日本への中国人観光客などが減れば、日本の景気は落ち込み、政権の支持率が下がると考えているのだろう。人権問題の解決を争点に掲げる立憲民主党も、中国政府を批判するどころか、枝野幸男代表は中国共産党幹部と面会するなど、交流を深めている。日本はこのまま声をあげなくもいいのか。

これに対し、大川隆法・幸福実現党創立者 兼 総裁は、5月に開かれた同党の立党10周年大会で、「 中国であれば、ウイグル自治区、チベット自治区、内モンゴル自治区等は、国丸ごと取られているわけなので、これはある意味で、現代における『奴隷制度』が現実に行われています 」と中国政府の問題点を指摘した。

大川総裁はこれまでも、中国の人権蹂躙や覇権拡大に警鐘を鳴らし続け、日本の世論のみならず世界各国に影響を与えてきた。

いまの日本に必要なのは、世界の諸問題にオピニオンを発信する「リーダー国家」としての気概だ。各党は、票を得るための人気取りではなく、善悪の価値判断に基づいたオピニオンの発信と行動が求められている。

(片岡眞有子)

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