スマホ代金値下げを狙い、総務省が新たな手を打つ。
携帯電話会社大手3社(NTTドコモ、ソフトバンク、au)が格安スマートフォン事業者に貸し出している通信回線の使用料を、総務省が引き下げる方針を固めた。
携帯電話会社や放送局は、総務省から電波の周波数を割り当てられ、その使用料である「電波利用料」を納めて事業を営んでいる。一方、格安スマホ事業者は、大手から通信回線を貸してもらい、その使用料を大手に払っている。
今回総務省が下げようとしているのは、格安スマホ事業者が大手3社から通信回線を貸してもらう際に支払う料金だ。この料金は総務省令に基づき、各種経費に利益を上乗せして算出される。総務省は、省令を改正することで、大手が必要以上に利益を上乗せできないようにするという。
格安スマホ会社は今までより安く通信回線を利用できるようになるため、さらにスマホ料金が下がることを見込む。また、格安スマホ事業への新規参入、普及を後押しする狙いもある。
その結果、顧客流出を恐れた大手会社が料金を引き下げ、高騰するスマホ通信料を抑える狙いがあるとみられる。
しかし、回線使用料を少々引き下げても、通信産業の抱える問題の根本的な解決にはならない。
格安スマホ会社への貸出料が下がれば、当然大手の収入は減って苦しくなる。しかも、回線使用料を多少下げたところで、狙い通り新規参入や値下げが進むかは不明だ。大手いじめだけで終わる可能性もある。
そもそも、総務省が電波の割り当てに関する許認可権を持ち、大手企業のみに事実上独占させていることが、市場原理を歪めている原因ではないか。
こうした問題を解決する手段として、通信産業の周波数オークションの導入を提唱する人もいる。元ライブドア社長の堀江貴文氏もその一人だ。周波数オークションとは、総務省が通信産業や放送産業に電波を割り当てるのではなく、民間企業による競争入札(オークション)によって決めるという仕組みだ。
総務省による許認可行政をやめれば、現在使われていない周波数の電波なども有効活用できる。独占市場だった通信産業に競争が生まれ、サービスの向上、利用者の料金の低下につながると期待される。
政府による価格の操作ではなく、国家管理の下に置かれている制度そのものの見直しを急ぐべきだ。(祐)
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