写真:Yung Chi Wai Derek / Shutterstock.com

《本記事のポイント》

  • 米専門家組織が、香港デモ隊への支援を求める公開提言をトランプ大統領に提出
  • 香港政府高官への制裁や香港デモ隊の「5大要求」に対する公式支援などを求めた
  • 隣国の日本政府は、静観したままで許されるのか

香港デモ隊への中国政府による締め付けが強まっている。

8月30日には、2014年の民主化デモ「雨傘運動」で先頭に立った周庭(アグネス・チョウ)氏や黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏など著名活動家が相次いで拘束された。建国70周年を迎える10月1日までにデモを鎮静化させたいという、中国共産党政府の意向が透けて見える。

そうした中、アメリカではトランプ政権にデモ隊への支援を求める声が挙がっている。

政府に政策を提言するアメリカの専門家組織「現在の危機に関する委員会:中国(Committee on the Present Danger: China)」は8月30日、ドナルド・トランプ大統領に公開提言を送ったと表明した。同組織メンバー26人の連名による提言は、以下のような書き出しで始まる。

「我々は、自由と極東におけるアメリカの国益にとって重要な瞬間である今、あなた(トランプ氏)に向けて書いています。あなたもご存じの通り、香港の人々は、香港がイギリスの植民地でなくなった時に中華人民共和国が尊重すると約束したはずの、自由と自治を守るために奮闘しています。我々は、彼ら香港の人々を助ける機会に面しています」

その上で、米政府としての具体的な施策を提言。キャリー・ラム行政長官ら香港政府高官に対するアメリカへの入国制限や米国内の資産凍結などの制裁、香港デモ隊の「5大要求」に対する公式支援、中国政府に対し1984年に締結された「香港問題に関する中英共同宣言」の遵守などを求めた。

日本にとって、「海の向こうの出来事」か?

武装した香港警察によるゴム弾や催涙ガスを浴びてもなお、香港の人々は自由を求める戦いを止めない。6月9日に100万人超の大規模デモが起きてから、13週間にわたって週末のデモが続いている。

国外での仕事を辞めてデモに参加する香港人や、郷里に戻れば拘束される危険がありながらデモに加わる中国本土の人もいる。一時拘束されたウォン氏は保釈後、記者団に対して「私たちは逮捕されようとも訴追されても戦い続ける」と述べた。

黙っていれば自由がなくなる。そうした危機感が、彼らを突き動かしている。

日本政府は香港情勢を静観するのみだが、アジアの大国として、隣国として、それで許されるのだろうか。米政府への提言書に挙げられた「香港政府高官への制裁」などの検討に加え、チョウ氏やウォン氏のような民主活動家たちを支援することで、今回の民主化運動を契機として中国全土の民主化にまでつなげることができるはずだ。

「海の向こうの出来事」として、黙って見ているわけにはいかない。

(片岡眞有子)

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