【政策比較・外交防衛】どの政党が未来を見通し、国民を守るか?

2014.12.03

ざっくり言うと

政権与党の自民党と公明党のスタンスは、一致していない。

民主党は、集団的自衛権、特定秘密保護法に否定的。

2009年、唯一、国防の危機を叫んでいた政党があった。

中国や北朝鮮が軍事力を増強させ、日本にとって大きな脅威になっています。特に中国は、東シナ海で日本、南シナ海でフィリピンやベトナムとぶつかり、太平洋にまで侵出しています。アメリカの力が衰える中で、日本に必要な外交防衛政策とは何でしょうか。各党の政策から、どれほどの本気度で国民の生命・安全・財産を守る気概があるのか、見ていきましょう。

政権与党の自民党と公明党 政策はギクシャク

自民党は、日米同盟の強化のほか、オーストラリア、ASEAN諸国、インドなどとの協力強化を掲げています。これは、ある種の「中国包囲網」と見ることができるでしょう。また、主権と領土・領海を守り抜くため、尖閣諸島周辺海域での外国公船・漁船の不法行為に対する監視の強化をうたっています。この辺りは、政権与党としての自覚を感じさせます。

ただ、連立を組む公明党は、少し趣きが異なります。マニフェストの外交に関するページには、山口那津男代表が、ある男性と固い握手を交わす写真が大きく使われています。その男性とは、習近平・中国国家主席です。また、平和主義と非核三原則の堅持、日中・日韓の関係改善を強調しています。

野党の中でも、与党寄りの政策を掲げるのは、維新の党と次世代の党です。維新の党は、集団的自衛権について、行使のあり方を具体化して必要な法整備の実施を主張。尖閣問題についても、中国に国際司法裁判所への提訴を促すとしています。次世代の党も、集団的自衛権に関する憲法解釈の適正化を求め、全ての拉致被害者の早期救出を訴えています。

一方、2012年冬まで政権を担っていた民主党は、集団的自衛権の行使を容認した閣議決定の撤回、特定秘密保護法の施行の延期を求めています。共産党は、日米安保の破棄、憲法9条の堅持。社民党も、自衛隊の縮小、9条の堅持を主張しています。

これに対し、幸福実現党は、憲法9条の改正、集団的自衛権の行使を可能とする法整備、防衛予算の倍増などを主張。さらに、「憲法改正までの間は、前文にうたわれた『平和を愛する諸国民』とは言い難い中国、北朝鮮に対しては憲法解釈の変更により9条の適用対象外とし、有事への備えを万全にします」としています。また、目前に迫る脅威に備え、非核三原則を撤廃し、アメリカやロシアからのレンタルを含めた、核抑止力の保有の検討を訴えます。こうした国防強化策の根底には、「他国の侵略から、国民の生命・安全・財産と自由を守る」という気概があるようです。

2009年に、いち早く国防の危機を訴えていた政党とは?

次第に中国寄りになる与党。大事な時に腰が砕ける政府で日本の安全は大丈夫?

ここで、国民の生命に直結する、もっとも重要な政権与党のスタンスを、改めて点検します。

自民党は、民主党政権時代に比べれば、国民が安心できる外交防衛政策を進めていると言えるでしょう。しかし、前述のとおり、連立を組む公明党がネックになっています。例えば、最近では、年内の改定を目指していた日米防衛強力のための指針(ガイドライン)について、日米両政府が年内の最終報告を見送る検討に入ったことが報じられました。

この背景には、7月に閣議決定された集団的自衛権行使の限定容認の解釈をめぐって、自民党と公明党の間で意見調整が難航し、来年4月の統一地方選を見据え、集団的自衛権行使に消極的な公明党に対し、自民党は対立を深めたくない、という事情があるようです。

自民党内にも一国平和主義で中国寄りの議員はたくさんおり、財界からのプレッシャーも手伝って、安倍首相は11月の日中首脳会談に至りました。もちろん、その裏には、閣僚スキャンダルで落ちた支持率を回復させたい思惑もあったでしょう。

タカ派と見られている安倍首相ですが、さまざまな事情を抱えた時には、これまでの主張や態度をひるがえしてでも、政権の延命を優先させるという残念な姿勢が垣間見えます。

でも、大事な時に腰が砕ける自民党の姿は、今に始まったことではありません。2009年4月、当時の麻生内閣の河村建夫官房長官は、北朝鮮がミサイルを発射し、日本上空を通過させたにもかかわらず、「飛翔体」と呼び続ける弱腰ぶりを見せています。

そうした自民党政権の限界を感じ、その年に立党したのが、幸福実現党でした。その年の夏に行われた衆院選では、自民党も民主党も票にならないと踏んだためか、「国防」や「中国・北朝鮮の脅威」を訴えることを避けました。しかし、唯一、「国難が迫っている」「国防強化が急務」と叫び続けたのが、幸福実現党でした。あれから、5年以上が経ちましたが、どの政党の主張に先見性があり、正しかったのかは、明らかでしょう。

2014年衆院選 外交防衛問題 各党政策比較

国防・安全保障
自民党 日米同盟強化、中韓露と関係改善
豪、印、ASEANとの関係強化
領土・領海の監視体制の強化
公明党 平和主義と非核三原則の堅持
日中海上連絡メカニズムの運用
日中、日韓の関係改善
幸福実現党 憲法9条改正。非核三原則廃止
防衛法制改革。防衛予算倍増
日米同盟強化。中国包囲網形成
民主党 専守防衛、平和主義の堅持
集団的自衛権行使容認の撤回
特定秘密保護法の実施の延期
維新の党 集団的自衛権行使の範囲の明確化
最高裁を自衛権への歯止めに
次世代の党 自主憲法の制定。防衛予算拡充
安全保障基本法案の制定
領域警備法の制定
共産党 日米安保の破棄。9条堅持
防衛装備移転三原則の撤回
9条に則った平和外交
社民党 9条堅持。自衛隊の縮小
集団的自衛権行使容認の撤回
非核三原則の法制化
生活の党 9条堅持。集団的自衛権行使反対
対等な日米関係の確立
普天間基地の県外移設
比較の
ポイント
(対立軸)
9条改正vs.9条堅持
集団的自衛権行使:容認vs.反対
中国対策の強化vs.日中融和
南西諸島防衛の本気度

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