「親愛なる同志たちへ」 - リバティWeb シネマレビュー
2022.02.27
© Produced by Production Center of Andrei Konchalovsky and Andrei Konchalovsky Foundation for support of cinema, scenic and visual arts commissioned by VGTRK, 2020
2022年4月号記事
Movie
親愛なる同志たちへ
ソ連政府による民衆弾圧はなぜ起きたか
- 【スタッフ】
- 監督・脚本:アンドレイ・コンチャロフスキー
- 【キャスト】
- 出演:ユリア・ビソツカヤ、ウラジスラフ・コマロフ、アンドレイ・グセフ
- 【配給等】
- 配給:アルバトロス・フィルム
- 【公開日】
- 2022年4月8日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開
© Produced by Production Center of Andrei Konchalovsky and Andrei Konchalovsky Foundation for support of cinema, scenic and visual arts commissioned by VGTRK, 2020
【レビュー】
1962年6月、ソビエト連邦南部の都市ノボチェルカッスク。生活物資の高騰に国中が悲鳴を上げるなか、大幅な賃下げなどに端を発し、工場で大規模なストライキが勃発した。モスクワのフルシチョフ政権は、スト鎮静化と情報遮断のために高官を派遣。集結したソ連軍は約5000人のデモ隊や市民に容赦なく発砲する。
市政委員会で生産部門を担当する共産党員であり、熱心な愛国主義者のリューダは、政治的な考え方が相容れない18歳の愛娘・スヴェッカが事件に巻き込まれていると知る。遺体安置所や病院を駆けずり回るが、娘の消息は分からないまま。非武装の市民を次々に殺害する国家の非情な実態を目の当たりにし、長らく忠誠を誓ってきた共産党への疑念に揺れ始めるリューダだが……。
ソ連崩壊まで30年間隠蔽され続けてきた、政府による民衆弾圧に焦点を当てた本作。スターリンを崇拝し、共産主義による繁栄を信じて疑わなかった女性が、母として娘を案ずるがゆえに国家や共産主義体制に疑問を抱くまでの、揺れ動く心情をソ連時代から活躍するロシアの巨匠が巧みに伝える。
ウイグルや香港、ミャンマーなどで今も続く弾圧に自然と思いを馳せる、「今」観るべき作品。
ザ・リバティWeb シネマレビュー
「親愛なる同志たちへ」
(星3つ。満点は5つ)
「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
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