コロナウイルス、中国不況、地銀9割消滅!?、中国の軍事行動? 故・長谷川慶太郎流トレンドの読み方

2020.02.04

マスクを着けて移動する人々(1月、中国・四川省の空港)。写真:B.Zhou / Shutterstock.com。

中国発の新型コロナウイルスの話題で、テレビや新聞は持ちきりだ。

中国国内の患者数は1万7000人を突破、死者は360人を超え、フィリピンで中国人男性が亡くなり、中国国外で初めての死者が確認された(3日午前時点)。

3日に取引が再開された中国・上海の株式市場では、代表的な指標である上海総合指数が春節の連休前に比べて7.72%安い、2746.61で取引を終えた。この下落率は、2015年8月下旬以来、約4年5か月ぶりの大きさという。

大川隆法・幸福の科学総裁は、昨年12月、埼玉県・さいたまスーパーアリーナで行った講演「新しき繁栄の時代へ」の中で、日本政府が無為無策のままだと、中国の不況を受け、日本の地方銀行は9割潰れる危険性について言及した。

さらに大川総裁は、その不況が起きた後、中国はある目的で周辺国に軍事行動を起こす可能性についても触れた(最新刊『新しき繁栄の時代へ』に詳述)。

中国不況で、なぜ日本の地銀がダメージを受けるのか、という点については、全国の書店で発売中の本誌2020年3月号「202X年、中国バブル崩壊で 地銀9割消滅!? ~日本の銀行を救う5つの方法~」で特集している。

ただでさえ、米中貿易戦争で経済が悪化している中国だが、コロナウイルスの大流行による混乱で、見通しがさらに不透明になっている。

今回本欄では、国際社会で起きる出来事が、その後どのように展開するか、自分の生活にどのような影響を及ぼすかなど、時代の流れを読むために必要なことを聞いた、国際エコノミストの故・長谷川慶太郎氏のインタビューを紹介する。

(※2014年1月号本誌記事を再掲。内容や肩書きなどは当時のもの)

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インタビュー

「風が吹けば桶屋が儲かる」のつながりを見抜く

国際エコノミスト

長谷川慶太郎

(はせがわ・けいたろう)1927年京都生まれ。53年大阪大学工学部卒。新聞記者、証券アナリストを経て63年独立。83年に『世界が日本を見倣う日』で第3回石橋湛山賞受賞。著書は『2014長谷川慶太郎の大局を読む』(李白社)、『長谷川慶太郎 アジアの行方』(実業之日本社)など多数。

長期トレンドを読むときに押さえておくべき情報は、まず、商品や株式、広い意味では資産などの相場です。自由主義経済の中では、モノとカネの流れを押さえるのが基本。情報に接するときは、「いかに『流れ』を読むか」が重要なのです。

また私の場合、五大紙から始まって、雑誌では「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」「週刊エコノミスト」の三誌に必ず目を通します。海外情報を得るには、週刊「The Economist」がいいと思います。

石油ショックは「エピソード」かそれとも「トレンド」か

私は1973年の第一次石油ショックのとき、各企業から相談を受け、「原油の輸入は回復するので、在庫を抱えても仕方がない。売りなさい」と伝えました。なぜかというと、ロンドンにロイズという保険組合があり、日本向けの原油輸送タンカーの海上保険を請け負っていた。そこの知り合いのブローカーに電話で日本への輸送状況を尋ねると、「増えている」と言う。

さらに、日本で一番大きい原油の輸入基地である鹿児島の喜入基地の様子を、地元の新聞記者に確認すると、「石油タンカーがズラッと並んでいる」と言う。

当時のマスコミは「シェルが日本向けの輸出を何%減らす」などと騒いでいましたが、私には「石油は入ってくる」という確信があった。その後、多くの人から大変感謝されました。

重要なのはその情報が一過性のエピソードか、世の中の大きな流れに影響を与えるトレンドかを見分けることです。第二次石油ショックのときも、当時多くのエコノミストが「必ず第三次石油ショックが来て、日本経済はつぶれる」と騒ぎました。それは彼らが石油ショックを「トレンド」と見誤ったからです。実際には、エピソードに過ぎませんでした。

また、知識や教養をコツコツと蓄積していく努力も大切です。次第に視野が広がり、判断の確度が高まっていきます。高度な判断を下すには、それ相応の耐える時間が必要です。

ソ連崩壊を6年前に予言 事象よりも原因に注目する

また私は、ソ連が崩壊する6年前に「東西冷戦は東側陣営の完敗で終わる」と予言し、的中させました。なぜそんな大胆なことが言えたかというと、圧倒的な東西陣営の工業力の差を見抜いたからです。

たとえば、冷戦時代の60年代後半、約2カ月に渡って共産圏の東欧諸国を見て回りました。当時、共産党一党支配のブルガリアでは製鉄所や非鉄金属の工場、石油工場など6カ所を訪ねたのですが、そのとき私は質問を3つに絞りました。「工場で使う原料の搬入と製品の搬出、つまり輸送はどうしているか?」「工場で使う水はどうやって調達し、処理しているか?」「公害対策はどうしているか?」です。

しかしどこの担当者も答えられず、後から連れて来られた人も答えられず、入れ代わり立ち代わりして、多い時には何十人も交代していきました。それに加えて、工場では多くの人が余っていた。

この時に「この国は絶対潰れる」と確信したのです。政治優先のシステムを採っている国は、経済的に非効率になって行かざるを得ず、経済が成長する可能性が失われるからです。

情報を集める時には、事象ではなくその原因に注目すべきです。そして「風が吹けば桶屋が儲かる」の話のように、一見何の関係もないように見える情報の間にも、必ずつながりがある。それを見抜くことで先を見通すことができます。

情報力を高めるのに欠かせないことを5つにまとめると、(1)広い分野に強い好奇心を持つ。(2)情報にお金をかけることを惜しまない。(3)変化に敏感になり、自分自身も変化し続ける。(4)海外情報にあたり、国際的な視野に立つ。(5)過去の人類の活動の総括である歴史を徹底的に勉強する──ということになります。

中国崩壊を控え韓国は親日になるべき

今後の世界情勢の大きな見通しとして言えることは、中国の崩壊です。年間数十万件も暴動が起きている上に、人民解放軍もそれぞれの軍区で独立国のような動きを見せているので、近い将来、内乱が起こるでしょう。問題はその際に、中国本土にいる邦人13万8千人を救う手段が日本にないことです。アメリカはこの混乱を想定して、原子力空母11隻のうち3隻を日本近海に置いていますが、日本はまだ平和ボケの状態です。

中国が崩壊すれば、それを支える北朝鮮も崩壊します。その時、韓国が経済的に頼らなければいけないのは日本です。

ドイツは東西統一で、経済格差を埋めるのに相当苦しみました。当時、西ドイツの人口は6000万人、東は1800万人で3分の1。しかし現在、韓国は4600万人、北朝鮮は2300万人で2分の1。ドイツよりも負担が大きい。つまり韓国は、将来のことを考えれば日本と仲良くしなければいけない。

そもそも歴史問題を持ちだすこと自体、近代国家の発想ではありません。日本は明治維新を経て近代化を果たしましたが、1858年に結んだ不平等条約を解消したのは1911年。半世紀以上かけて、国際的な信用を築いていったわけです。その意味で、現在の韓国や中国も、国際社会に認められるような、近代化のための努力を長く続ける必要があります。(談)

【関連記事】

2014年1月号 マスコミの情報を鵜呑みにしない - トレンドを読む5つのステップ Step1

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2014年2月8日付本欄 【前編】 Interview 長谷川慶太郎氏に聞く 大河ドラマの主人公 黒田官兵衛の本心 Web限定 インタビュー全編

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2014年2月11日付本欄 【後編】 Interview 長谷川慶太郎氏に聞く 大河ドラマの主人公 黒田官兵衛の本心 Web限定 インタビュー全編

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タグ: 中国  冷戦  コロナウイルス  長期トレンド  石油ショック  平和ボケ  長谷川慶太郎  米中貿易戦争  韓国 

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