台湾との断交が相次ぐ中、ヨーロッパでは中国へ反発の動きも
2019.10.13
《本記事のポイント》
- 台湾との断交が相次いでいる
- 裏には、「経済支援」を名目にした中国の圧力がある
- ヨーロッパでは、中国への反発の動きも起きている
南太平洋のソロモン諸島とキリバスがこのほど、台湾との国交を断絶し、中国との外交関係を承認した。これにより、台湾が外交関係を持つ国は15カ国となり、過去最低の数となった。
南太平洋は、アメリカとオーストラリアをつなぐ海上航路に位置する。そのためアメリカ政府内部からは、米軍を置くグアムに近い、南太平洋での中国の軍事活動が活発になることへの懸念が示されている。
安全保障上の問題の他にも、中国が経済力に物を言わせて台湾を国際社会から孤立させようとする動きについても、批判の声が上がっている。
中国の「経済支援」の裏にあるものとは
台湾の蔡英文総統が、自国の独立路線を軸にした外交を展開する中、他国との国交断絶が相次いでいる背景には、中国政府による入念な下準備があった。
2006年4月に開催された第一回の中国・太平洋島嶼国経済開発協力フォーラムで、中国は太平洋諸島諸国に約450億円の借款を表明。第二回では、さらに約1000億円の追加融資を決定した。
いずれのフォーラムにも当時の首相だった温家宝氏や、副首相の汪洋氏が出席していることから、中国が虎視眈々と南太平洋地域を狙っていたことがうかがえる。
中国の「経済支援」の特徴は、他国のものとは一線を画している。
ソロモンを含む太平洋諸島諸国の開発支援は、オーストラリアが伝統的に担っており、貧困問題や経済格差など、国の発展を文字通り「支援」していた。
一方の中国の支援は、インフラ開発を名目とした多額の融資を行う。例えばソロモンの南に位置するバヌアツ共和国では、中国が大規模な港を建設中だ。しかし、その過程で相手国に「借金」を負わせ、自国の影響力を増大させている。
こうした経済支援を隠れ蓑にした中国の覇権主義の広げ方は、「債務の罠」と言われ、国際社会で問題視されている。
プラハは北京との姉妹都市を解消
しかし、中国に対する反発の動きも出始めている。
例えば、チェコ共和国の首都であるプラハの市政府は10月7日、中国・北京市と結んでいた「姉妹都市」関係の解消を決めた。
プラハ市と北京市は、2016年に中国の習近平国家主席がチェコを訪問した際に姉妹都市協定を締結。同協定の第3条には、「台湾は中国の不可分の一部」という中国側の主張が記載されていた。
しかし、民主主義の台湾を支持し、中国共産党による人権侵害を非難してきたズデニェク・フジブ氏が2018年11月、プラハ市長に就任。同氏は今年1月以降、中国当局に対して、台湾を国家として承認しない「一つの中国」に関する項目を削除するよう呼び掛けていた。
これに対し中国は4月、報復措置として、プラハの楽団の中国巡回公演を取り消していた。
日本の英断にかかっている東アジアの平和
中国の圧力により、台湾が国際社会から孤立すれば、沖縄をはじめとした日本への圧力も加速するだろう。
日本は1972年に中国との国交を樹立した際、台湾と断交した。だが、「自由・民主・信仰」という普遍的な価値観を共有する日台が関係を強化することは、中国の覇権主義を抑止することにもつながる。
今の日本がなすべきことは、来日予定の習氏を国賓として"おもてなし"することではない。プラハの姿勢に学び、中国の覇権主義に反対の声を上げることだ。
(上野詩織)
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