安倍政権の法人税議論 なぜ増税論者が経済ブレーンなのか
2015.11.18
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安倍政権が、法人税減税の前倒しを検討している。
現在、32.11%である法人税の実効税率は、来年度に31.33%以下に下げることが決まっている。しかし安倍晋三首相は、この税率を早期に、20%台にまで引き下げると表明した。
増税論者の経済ブレーン
先の会議の議事要旨によれば、首相の経済ブレーンの一人である伊藤元重・東京大学大学院教授が、「16年度中に20%台に引き下げるような努力が必要だと思うし、そのための財源をどうするのかという議論に当然なると思う」と述べたという。
この発言を見て、「減税論者」が、安倍首相を支えていると思いきや、そうではない。
実は伊藤氏は「増税論者」として有名だ。同氏はかつて、社会保障の立て直し策として、このような案を出している。
「医療へのアクセスを制限したり、死亡消費税を導入して高齢者医療費に活用したりするというような手法は、国民の同意を得られるかどうか分からないが、実現したら医療の財政には大きな負担軽減効果をもたらす。こうした多様な戦術を列挙し、それをどのような手順で出していくのか、そして国民の合意を獲得するのか考えることが、社会保障改革の戦略となるはずだ」(2013年4月24日付『日経MJ』)
「死亡消費税」の恐ろしさ
この中で言及された「死亡消費税」とは、すべての故人の財産に対し、課税するというもの。現在、導入されている相続税とは、一定の財産を残した一部の人たちだけが課税対象である点が異なる。言わば、死んでも税金を徴収するという政策だ。
実際、伊藤氏は、13年6月に首相官邸で開かれた『社会保障制度改革国民会議』の中で、この政策を提案している。
これほど社会主義色が強い政策を提唱する人物が、安倍首相の経済ブレーンであることから、安倍政権の本質がかいま見える。つまり、安倍政権は、新たな増税を持ち出してくる可能性があるのだ。
法人税の引き下げは、経済を活性化させるうえで重要な政策だ。しかし、その先に待ち受けているものが、2017年春の消費税10%への引き上げであり、新しい税金の導入であれば、日本経済の衰退は免れない。
安倍政権は、景気の回復を本当に考えている経済学者を経済ブレーンにすえるべきだ。そうすれば、増税する必要もないことが分かるだろう。(山本慧)
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