200人規模の経済界の訪中団が4日、北京の人民大会堂で、中国の李克強首相と会談した。訪中団は、日本経済団体連合会(経団連)の榊原定征(さかきばら・さだゆき)会長をはじめ、日中経済協会や日本商工会議所に所属する主な企業経営者で構成された。

会談で李首相は、中国の経済状況、構造改革、ビジネス環境などに関する日本側からの質問に答え、中国をより開放的で公平な投資環境にすると話した。

また、日本と協力し、途上国のインフラ整備に取り組む用意があるとも発言。日中韓自由貿易協定(FTA)などの交渉を進めていきたいなどとした。

南シナ海で米中がにらみ合う最中の「朝貢」

国内外のメディアはこの様子を報じているが、日本の経済人が李首相を囲むように並んだ座席の配置や、李首相が堂々と握手に応じる姿は、中国のプロパガンダ(政治的な宣伝)としては十分なもの。見る者に、日本の経済界が李首相に「朝貢」を行っているような印象を与える。

中国が南シナ海に軍事拠点となる人工島をつくっており、アメリカ軍とつばぜり合いを演じているタイミングでの訪中。これは、国際社会にどのように受け止められるだろう。

中国は国内で、民主化を訴える人々を監視したり、逮捕したりして、恐怖によって人々を従わせようとしている。チベットやウイグルなどの侵略した地域でも、中国政府に反抗する人々を捕まえ、口や肛門などに電気棒を差し込んで拷問していることは有名だ。

また、日本に複数の核ミサイルを向けているのは周知の事実。こうした状況を踏まえた時、今回の経済界の動きは、商道徳をかなぐり捨てたようにも見える。

経団連は「反社会的勢力」に毅然とした態度で臨むべき

日本国内では、財界人や政治家が暴力団と付き合っていることが明るみになると、マスコミの餌食となって批判されるが、中国共産党という13億人を支配する“暴力団"にすり寄ることは許されるのか。

「経団連企業行動憲章実行の手引き」の7章には、こうある。「市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力および団体とは、断固として対決する」。また、同章の「基本的心構え・姿勢」の項目では次のようにうたっている。「企業がその姿勢を正すとともに、反社会的勢力、団体に毅然とした態度で臨むことは企業の倫理的使命であり、企業活動の健全な発展のために不可欠の条件であるとの認識を持つ」(以上、経団連HP参照)。

もちろん、中国共産党に支配されている中国の市民全体を憎むべきではない。だが、日本の経済界が投資したお金が、チベットやウイグルの人々を拷問する電気棒、日本や周辺国を狙うミサイル、軍艦や戦車などに変わっている現状をどう考えるか。

経済界の「正しさ」はどこにあるのか。日本人は、今一度、考え直す必要がある。(格/泉)

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