みなさん、こんにちは。仏法真理にかなった名作映画鑑賞のお手伝いを目指す名画座リバティ2回目の今回は、その点からすると古今東西の映画のなかでもトップクラスに位置するであろうアメリカ映画「ベン・ハー」です。これは、およそ歴史のなかを生きる人間が経験し得る最大の出来事、すなわち「救世主との出会い」を描いた物語です。

なぜ今回「ベン・ハー」なのかというと、前回の「雨に唄えば」と同じく現在全国の「午前十時の映画祭」で劇場公開されているからです。アカデミー賞を史上最多11部門受賞し、歴史スペクタクルの最高傑作とされる本作こそ、劇場の大画面・大音響・非日常的空間で体験する価値のある映画です。

私は今日スクリーンで観て、そうした映画芸術・エンタテインメントとしての傑作性に加え、神への信仰と救世主との出会いという人生の根源的テーマを4時間近い長尺で描き切った本作を、真に偉大な映画であると思わずにいられませんでした。

時は紀元26年、ローマ帝国の属領となっているイスラエル。富裕なユダヤ人の息子ジュダ・ベン・ハーは、旧友でローマ軍の司令官となったメッサラにより無実の罪を着せられ、奴隷船の漕ぎ手となるも、数奇な運命からローマ海軍総司令官の養子となり、自由を取り戻す。メッサラへの復讐に燃えるジュダだが、彼の人生は不思議な縁によって、山上で教えを説くユダヤ人の若きラビ「ナザレの人」と交錯し、その愛と許しの教えがジュダの心に変化をもたらす──。

有名な映画ですので、テレビ放映やDVDなどで「昔観たことがある。知っている」という方も多いでしょう。しかし、このレベルの名作映画になると、繰り返し鑑賞することで新たな感動や学びを得ることができます。

大川隆法・幸福の科学総裁は最新刊『人として本物となるには』第3章で、本を繰り返し読むことの大切さについて次のように説いています。

繰り返して読む本は、五回、十回、二十回、三十回と繰り返し読みます。それも、連続して読むのではなくて、時間を空けて、繰り返して読む。そうすると、その間に自分が成長していますから、学べることが違ってくるのです。そのへんの勉強が加わってくると、違うように出てきます。(中略)『間隔を置いて勉強することで、その間に成長していますから、新しい知識とか経験によって、違うように見えてくる』ということです。そういうことを大事にしていただきたいのです

これは映画についても言えることであると思います。私自身、本作は最初テレビの洋画劇場で、二度目は今から20年以上前にレンタルビデオで観ており、今日の劇場鑑賞で三度目でしたが、これほど宗教性の高い傑作であったことに驚き、「以前の自分はいったい何を見ていたのか」と思いました。それはやはり、この年齢まで生きてきた目で見て初めて登場人物たちの心が手に取るようにわかる面があるからでしょう。彼らが神を信じる心についても同じであり、長年宗教を信じて生きてきた今だからこそ、より強く感動することができます。

本作で三度目のアカデミー監督賞をとった名匠ワイラーが見せてくれる映画芸術としての愉しみをいくつか挙げると、たとえば罪人として護送中のジュダが、教えを説き始める前のイエスから一杯の水を恵まれ渇きを癒すシーンでは、その水が単にジュダの肉体を蘇らせるだけでなく、愛の力で彼の魂に感動を刻印する「命の水」であることが、セリフを伴わず映像と音楽だけで象徴的に描かれています。こうした洗練された映画的表現も、名作鑑賞の醍醐味です。

そして映画史上に名高い、ジュダとメッサラが競技場で戦う戦車(四頭立てのチャリオット)レースのアクションの躍動。CGのない時代に、危険きわまりない命懸けのレースを、同じ危険を冒しつつすべて実写で映像化した迫力は、見終わって心地よい疲労感と虚脱感に襲われるほどです。

改めて書きますが、何より、本作のストーリーは同時代に救世主と出会うという人生最大の奇跡が軸となっています。リバティ読者の皆様であるならば、宗教大国アメリカのハリウッドスタジオMGMが総力を注いだ大作にして宗教映画の傑作である本作を通して、今世、大救世主とめぐり会うことができたことの奇跡、感動、僥倖を、いっそう深く感じることができるでしょう。

これは一度ならず、何度も観るべき映画です。これを観ずして宗教映画を語ることはできません。ぜひ「ベン・ハー」をご覧ください。

(田中 司)

『ベン・ハー』

【公開日】
2025年4月4日~5月1日(劇場により異なります)
【スタッフ】
監督:ウィリアム・ワイラー
【キャスト】
出演:チャールトン・ヘストン、スティーブン・ボイドほか
【その他】
1959年製作 | 222分 | アメリカ

【関連書籍】

人として本物となるには

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