2025年4月号記事

ニッポンの新常識

軍事学入門 57

台湾海峡は「ドローン地獄」となる

世界の流れを正しく理解するための、「教養としての軍事学」をお届けする。

高志榮

台湾国防安全研究院
委任助理研究員

高 志榮

(コウ・ジロン)台湾空軍軍官学校80班、国防大学戦争学院98班出身。空軍飛行連隊大隊長や国防大学戦争学院主任教官などを歴任(最終階級は大佐)。専門は戦争指導、連合作戦、電子戦。

ウクライナ戦争で無人機(ドローン)が毎月「万単位」で投入され、熾烈な戦闘が続いています。

ドローン大国の中国が、ロシアとウクライナ双方に輸出しているために「ドローンの消耗戦」が起きる中、台湾はドローン大国・中国と対峙しなければなりません。

台湾海峡の幅はだいたい200キロメートルあるため、小型ドローンは飛び越えられません。また、台湾のミサイル防御網も厚いです。

中国は高速で長距離を飛行するステルス性能を有するドローンを投入し、弾道ミサイルや長射程のロケット、戦闘機による空中攻撃を組み合わせた攻撃を行うつもりです。初期段階で「台湾のミサイル防衛を3分の1から2分の1破壊しようとする」でしょう。台湾が対処に遅れれば、防衛能力はどんどん低下します。