2025年2月号記事
Wikipediaの闇
無責任記事はなぜ垂れ流される
「公正中立」をうたいネット検索上位を占める「百科事典」の知られざる素顔を探ってみた。
ウィキペディアに書かれた誤情報が消えない──そうした芸能人の嘆きを、我々はたまにネットで見聞きする。
例えば2022年6月、元SKE48メンバーで女優の松井玲奈さんが、自身に対する「雨女」だという記述の削除をウィキペディアに拒否された。
その後、本人の希望を知ったファンが代わりにその記述を削除したが、他のウィキペディアユーザーや管理者がそれを復元させたので削除と復元の「編集合戦」が起きた。そして、そのページは管理者によって編集不可とされたのである。
だが、ファンは諦めなかった。ウィキペディアの編集用チャットで論争を続け、何とかそれを削除させることに成功する。
「雨女」という記述の科学的根拠はゼロなのに、管理者は「マスコミが書いているから」というだけで、タレントの営業妨害になる記述の削除を拒んだ。普通の企業であれば考えられないルールがウィキペディアではまかり通っている。
こうした体質は昔から変わっていない。ASCII元社長の西和彦氏は、2009年に自身についての誤情報を訂正させ、こう批判した(*1)。
「WIKIは『真実と嘘と無知と偏見と嫉妬と虚栄が混じったネットの肥溜みたいなもの』ではないだろうか」
肥溜に譬えたのは「養分としては面白いものがあるけれど、とても汚くて、ウソもたくさん入っているから」だという。
ネット検索で、多くの人がウィキペディアを見るだろうが、記事に虚偽や偏向があれば、誤った情報が拡散される。グーグル検索で上位を占めるウィキペディアの影響力は決して無視できない。そこで、一見、もっともらしいウィキペディアの「仮面」の裏に潜む恐ろしい素顔に迫ってみたい。
(*1)2009年10月22日付「J-Castニュース」
(本記事のウィキペディアの記載および情報はいずれも2024年12月16日時点)
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