《ニュース》

あまりに急速な温暖化が化石燃料の燃焼だけで説明できないことが、科学者の間でも疑問視されており、その原因を「雲不足」だと推測する論文が、サイエンス誌に掲載されました。CNNが報じるなどし、話題を呼んでいます。

《詳細》

近年、世界の平均気温の上がり方が、「化石燃料の燃焼によるCO2の増加でも説明できない」として、さまざまな専門家が原因究明を進めています。よく言われるのが、エルニーニョなどの太平洋の海洋現象ですが、それを踏まえてもなお気温の上昇は説明し切れないといいます。

この「説明ギャップ」について、アルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所(AWI)の気候物理学者ヘルガ・ゲスリング氏による論文が、12月5日に発刊されたサイエンス誌に掲載。

地球全体の太陽光の反射率(アルベドと呼ばれる)が下がっていることが原因で、2023年の反射率は少なくとも1940年以来最低だった可能性があると指摘しています。

言い換えれば、地球全体の色が急速に"黒寄り"なっており、多くの太陽光を吸収して気温上昇を加速させているという分析です。

その原因についてゲスリング氏は、色の明るい低高度の雲が、さまざまな地域で減少した可能性を挙げています。空高くから見ると、海は黒く、雲は白く見えますが、雲の量が減ることで、全体が黒っぽくなる、ということです。

ただ雲が減ったさらなる理由は不明であり、解明は「至難の業」であるとゲスリング氏はCNNに語っています。

ゲスリング氏は、大気汚染対策の進展により雲の核となるエアロゾルが減ったことや、海洋パターンの変化などの自然変動、温暖化そのものが(循環的に)雲の減少につながっている可能性などを挙げています。

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