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ウクライナ軍が自国と国境を接するロシアのクルスク州に侵攻し、戦闘が続いています。しかし、この越境攻撃をめぐり、西側諸国の専門家から批判的な論評が相次いでいます。

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ウクライナは過去に、戦力分散を促す陽動作戦として2回越境攻撃しており(いずれも失敗)、3回目となる攻撃を開始しました。今回の作戦は最大規模であり、関与している旅団も8個前後と言われるなど、相当な戦力を投入しています(ただし、各旅団から部分的に抽出した寄せ集めの部隊であり、実数は数千人程度と見られています)。

この作戦には疑問の嵐が吹き荒れています。フィンランド軍予備役将校のパシ・パロイネン氏は、米紙ニューヨーク・タイムズの取材に対し、「作戦上も戦略上も、この攻撃はまったく意味がない。これは、他の場所で必要とされている人員と資源を著しく浪費しているように思える」と答えました。

同じくフィンランドの軍事史家であるエミール・カステヘルミ氏は、「ロシアが土地を失う一方で、ウクライナのマンパワーの問題が依然として存在し、特にドネツク州などの他の地域において、追加の部隊が切実に必要とされている時期に、限られたウクライナの予備戦力を消耗させることになる」と自身のXで指摘しています。

米外交政策研究所のアナリストであるロブ・リー氏も、SNSに「今回の作戦が戦争の流れに大きな影響を及ぼすことになる可能性は低い」と悲観的な投稿をしています。

西側の専門家の多くが、ウクライナ軍の作戦意図が読めず、後退を余儀なくされているウクライナ東部ではなく、ロシア領に貴重な戦力を投入している状況に対して困惑しています。

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