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改正反スパイ法の施行から1年が経つ中国では7月1日から、当局者がスパイの疑いがある個人や組織のスマートフォンやパソコンを調査できる規定を施行しました。

《詳細》

23年7月1日に改正反スパイ法が施行されて以降、当局の取り締まりは厳しくなっています。当局は国民にスパイ行為の通報義務を課し、「重大な貢献」をした場合は10万元(約220万円)以上を提供するとしていますが、過去2年でこうした通報者が2人と発表しています。

今回、新たな規定の運用が始まったことで、中国入国時に電子機器の検査を受けることへの恐れが広がっています。中国政府は、検査対象はあくまで「反スパイ活動に関連した個人と組織であり、一般入国者ではない」としているものの、何がスパイ活動とみなされるかが曖昧なため、当局の解釈次第で運用がされるものとみられています。

取り締まりを担う中国国家安全省はスパイ取り締まりの事例をSNSで紹介。5月にはウィーチャットの公式アカウントで「国外の非政府組織の支援のもと、自然保護区内の各種データを窃取した」事例などを挙げ、地理や気象、生物に関連するデータを許可なく集めて外国に共有する行為について、「国家安全と利益を危険にさらす」と警告しています。

外資系の企業は既定の施行前から警戒を始めており、北京に拠点のある外資系コンサルティング会社は、社員が中国に出張する際、会社のパソコンやスマホの携行を原則禁止し、現地オフィスで貸し出す運用を始めているといいます(1日付時事通信)。

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