アジア太平洋交流学会会長・目白大学大学院講師
澁谷 司
(しぶや・つかさ)1953年、東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学などで非常勤講師を歴任。2004年夏~05年夏にかけて台湾の明道管理学院(現・明道大学)で教鞭をとる。11年4月~14年3月まで拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。20年3月まで、拓殖大学海外事情研究所教授。著書に『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界)、『2017年から始まる! 「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)など。
習近平政権は5月23日、山東省済南市で企業と専門家の経済フォーラムを開催し、経済こそが優先課題であることを示唆した(*1)。
そこでの出来事である。習主席は「イノベーションと投資」に関するスピーチを聞いた際、講演者に「ユニコーン企業の数が減った主な理由は何か?」と質問したという。この発言で、ネットユーザーから「(主席は)本当におバカなのか、それとも、おバカなふりをしているのか」と皮肉られている。
胡潤研究院が4月に発表した「2024年世界ユニコーンリスト」によれば、ユニコーン企業は1453社存在する。世界で米国が700社以上を占めるが、中国は340社に過ぎず、昨年、中国で新たに誕生したユニコーン企業は56社しかない。
その理由は、習政権の経済政策であるのは誰もが知るところであるが、まさか習氏自身がそれに気づいていないのだろうか。
(*1)2024年5月31日付『万維ビデオ』
低迷し続ける中国不動産市場
さて、2024年に入り、中国の不動産市場は「数量と価格の下落」の傾向が続いている(*2)。
1月から4月までの新築不動産の販売面積は2万9200平方メートルで、前年同期比20.2ポイント減少した。1月から4月までの全国の不動産の平均販売価格は1平方メートル当たり9595元(約20万円)で、前年同期比9.2ポイント下落している。
後述するように、目下、中国では各地で救済政策が採られ、売買制限の解除のほか、住宅ローン金利が引き下げられた。また、最初の住宅を購入するにあたっての頭金比率が20%へと減額された。